2016年新人王争いの行方は? パは楽天・茂木と日本ハム・高梨の争い、セは阪神・高山か?【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、2016年の新人王候補についてだ。
2016/08/18
Getty Images
ルーキーの茂木が一歩リード?
2016年NPBのペナントレースも、終盤へと差し掛かりつつある。毎年この頃から、各タイトルの行方が気になり始める。
特に新人王(最優秀新人)は、たった1度しか獲得することができない名誉あるタイトルだ。
新人王は、支配下選手に初めて登録されてから5年以内で、前年までの出場が投手は30イニング以内、野手は60打席以内の選手が対象になる。
8月16日試合終了時点で、新人王有資格者の成績を見ていこう。
パリーグ 野手陣 安打数順
東北楽天ゴールデンイーグルスの茂木栄五郎は、2015年ドラフト3位で早稲田大学から入団。本来は三塁手だが、梨田監督は開幕から遊撃手としてスタメンで起用した。6月下旬に右手を負傷して1カ月を棒に振ったが、8月に復帰。規定打席数は外れているものの、打率も.279と安定し、他の新人王有資格者を引き離している。
花咲徳栄高から2013年ドラフト3位でオリックス・バファローズに入団し、3年目を迎えた捕手の若月健矢は、今季途中から伊藤光に代わり、先発マスクを被る機会が多くなっている。
楽天は茂木のほかに100打席以上立っている新人王有資格者が1年目の捕手・足立祐一と外野手・オコエ瑠偉と2人いる。故障者が続出した影響もあるが、若手を積極的に起用して、チームの底上げを図る球団の意向が見える。
一方、ソフトバンクは新人王有資格者の野手は上林誠知だけ。選手層の厚さも手伝い、新人には厳しい環境だ。
パリーグ 投手陣 投球回数順
千葉ロッテマリーンズの二木康太と北海道日本ハムファイターズの高梨裕稔が7勝を挙げているが、内容はかなり違う。
鹿児島情報高校から2013年ドラフト6位で入団した二木は、開幕から先発ローテーションの一角を担っている。しかし6月25日、7月8日の2試合で16失点した影響もあり、防御率を悪化させた。
二木と同じく2013年のドラフト4位、山梨学院大学出の高梨は当初、救援投手だったが、6月8日の広島との交流戦で先発し、5回1失点と好投。8月13日の楽天戦で初完封するなど、急速に台頭してきた。
ロッテでは2015年ドラフト2位でJR東日本から入団した関谷亮太も、ここ3試合は7回3失点以内と安定感ある投球を見せているが、二木と高梨には及ばない。
2015年ドラフト3位で西濃運輸から入団した埼玉西武ライオンズの野田昇吾は即戦力として期待され、7月に4ホールドをあげた。しかし8月に登録抹消となり、新人王を狙うには実績でやや厳しいか。
投打の総合で考えれば、楽天の茂木と日本ハム高梨の争いと予想する。
茂木が規定打席数に到達し、打率.280をあげれば当確圏内。高梨が2ケタ勝利をあげて、防御率3点台だと、際どい争いになる。
新人王は記者投票で選出されるため、1年目の新人である茂木と、3年目の高梨の「フレッシュさ」の差が考慮される可能性もある。