オリックス安達、難病からの復活劇を目指して――「同じ病気の人に勇気を」月間MVPはひとつの証【どら増田のオリ熱コラム #82】
オリックスの安達了一がパリーグ野手部門、7月の月間MVPを獲得した。安達は今年1月、自主トレの途中で体の不調を訴えて緊急入院。難病とされる潰瘍性大腸炎と診断され、春季キャンプはもちろん、開幕も間に合わなかった。「野球ができないかもしれない」状況から、復帰を果たし、月間MVPを獲得するまでには、苦難な道のりだったという。
2016/08/22
どら増田
規定打席到達、月間MVP獲得へ
7月に入ると、スタメンから外れたのは僅か1試合。5月の段階では「未知の領域だからわからない」と話していた6連戦も出場できるようになってきた。
とはいえ、現在でも闘病中で、体のメンテナンスには事欠かず「睡眠時間をしっかり取ったり、水素水のお風呂に入ったりしています」と安達はいう。復帰当初は試合後に疲れた表情を見せていたこともあったが、最近では他の選手と変わらない印象を受ける。
そんな、安達の月別の打率成績を見てみると
4月 .239
5月 .192
6月 .203
7月 .380
8月 .241
※8月17日現在
復帰してからしばらくは低迷を続けていたオリックス打線において孤軍奮闘していた時期もあったものの、疲れがでてきたのか4月下旬から打てなくなってしまう。しかし、7月に入ると6月までの低迷が嘘のような成績を残した。
「7月に入って、体が慣れてきて体力的にも良くなってきたのが好調の理由だと思います」
安達は7月の好調ついて、体調面を理由にあげた。早期の完治が難しいと言われている病気なだけに、今はこの体とうまく付き合っていくしかない。夏になってようやく体と心が一致してきたようだ。
今季の安達にホームランはないが、右打ちを心がけたり、セーフティバントを狙ったりとチームプレーに徹する姿が見受けられる。
「主に2番で使ってもらっているので、糸井(嘉男)さんや、T(-岡田)につなぐ意識だけもって打席に立っています」
7月はこのつなぐ意識が、糸井、T-岡田、そしてモレルといったクリーンナップにも火をつけることになり、オールスター後のチーム成績を13勝13敗(17日現在)と5割に押し上げる原動力になったのは間違いない。
規定打席にも到達し、2番だけではなく最近は1番で起用される機会も増えてきた。また6月に6失策を喫した守備も、7月は2失策と本来の落ち着きを取り戻している。
「月間MVPはファンの方も含めて、病気をしてからいろんな皆さんのサポートがあって獲れた賞なので、感謝したいですね。同じ病気をしている人たちに勇気を与えられるようなプレーをしたいです。そのためにも好調を続けられるよう頑張ります」
今季を万全な状態で迎えるために準備をし始めた矢先、難病に襲われるという、不運なスタートを切った安達だが、病気を患い入院したことで得たものも多かったようだ。
しばらくは病気とうまく付き合っていく必要があるが、強い気持ちで向き合っている安達なら“張っ飛ばして”くれるはずだ。月間MVPはそのひとつの証にすぎない。