12球団最多の9度のサヨナラ勝ち 諦めないキヨシ野球が浸透した1年【ファンがつける、横浜DeNAベイスターズ2014通信簿】
オリックス、巨人と掲載してきた、各球団のファンによる2014年の通信簿。第3回目は横浜DeNAベイスターズだ。なお各項目5点満点である。
2014/12/17
4番ブランコの離脱、失策数の多さはマイナス。筒香の覚醒は大きなプラス
【野手2点】
昨シーズン、チーム打率リーグ2位の成績を残していたことで、今シーズンもそこそこやってくれると思っていたが、蓋を開ければリーグ最下位の.253。
打線は水物とよく言う。とくにクライマックスシリーズが見えてきた夏場は貧打あえぎファンをやきもきさせた。
理由は色々ある。一番の原因は4番ブランコの故障による3度の戦線離脱だろう。
昨年まではチーム全体が「ブランコにつなぐ」という意識で打席に立ち流れを作ってきたが、今年は核を失いまとまった点を稼げなくなってしまった。また守備面での問題も多く、失策はリーグ1位の116個。12球団唯一の3ケタである。
目に付いたのは今シーズン正妻となった黒羽根の致命的な失策や、また外国人選手の起用事情により内野から外野にコンバートされた筒香、梶谷、石川などスペシャリストではない選手たちの守備への不安。
記録には残らないミスも多く、これではやはりクライマックスシリーズに届かないのも無理はない。ただ明るい材料を見出すならば、規定打席に達した選手でチーム唯一打率3割に届いた筒香の覚醒や、62試合出場で打率3割、長打率5割以上を誇ったグリエルの存在感は印象深かった。
また相川亮二以来、ようやく「打てる捕手」として頭角を現した黒羽根の存在も下位打線にあって大きい。来季は4番筒香を軸に打線を固定できれば十分勝負できるだろう。
良くも悪くも予想外だった投手陣。月間MVPを獲得した先発陣が来季も機能するか?
【投手3点】
開幕前はとにかく不安ばかりだった投手陣。
案の定、期待されていた三嶋や尚成が開幕からまったく勝てず、クローザ―の山口は昨シーズンからの不調を引きずり大事な場面で被弾するなど悪循環に陥った。
今年もこんなもんかと思っていると、なぜか5月に入ると息を吹き返す。
久保と井納がローテーションをしっかりと守り着実に勝ち星を挙げていくと、外国人登録の問題で1~2軍を行ったきり来たりしているモスコーソが落ち着かない状況にも関わらずしっかりと仕事をし、さらに陽気がよくなってくると三浦(ファンとして、あえて番長と表記したい)も復活。
なによりもクローザ―や中継ぎとして失格の烙印を押され円形脱毛症になるほど追いつめられた山口が先発に復帰すると、これが大当たり。月間MVPを2度も獲得する活躍を果たした。
月間MVPに関しては番長と井納も獲得し、さらに久保やモスコーソの働きもあり、リーグ屈指のローテーションが形成された。また山口が抜けたあとのクローザ―をルーキーの三上が務め、新人とは思えぬグラウンドさばきで苦しいチーム状況を救った。
後半は疲れから失速したが、彼の存在がなければクライマックスシリーズ争いできるまでチーム状態は上がらなかっただろう。
中継ぎは、長田、林、大原、萬谷、国吉、加賀、ソトといった面々を擁し、そのとき調子のいい選手を登板させ、よくしのいでいた。
このあたりのブルペンワークにも拍手を送りたい。
振り返ってみれば外国人チーム最多勝となったモスコーソや新人抑えの三上の存在、山口の先発転向など予想していなかったことが起き好転したといった印象。そういう意味で安定して来季を戦えるかは未知数である。