ヤクルト石川、与四球率1点台。通算150勝達成を支えた現役No.1の制球力
ヤクルトの石川雅規が、27日の阪神戦(甲子園)でプロ野球史上48人目となる通算150勝を達成した。
2016/08/28
球界屈指の制球力は数値で証明
ヤクルトの石川雅規が、27日の阪神戦(甲子園)でプロ野球史上48人目となる通算150勝を達成した。この日は石川にとって通算400試合目の登板。今季初の完投勝利は逃したものの、8回2/3を投げ2失点と好投した。7月18日のDeNA戦(神宮)で今季5勝目を挙げ、節目の記録に王手をかけてから5度目の挑戦で手にした白星だ。
身長167センチの小さなサウスポーが打ち立てた金字塔。通算150勝以上は、球団では金田正一(400勝)、松岡弘(191勝)に次ぐ史上3人目だ。
昨季は13勝(9敗)を挙げ、14年ぶりのリーグ優勝に貢献した石川だったが、今季はこの日の勝利を含め6勝7敗、防御率は4.52と不本意なシーズンを送っている。それでも昨季までの14年間で11度の2ケタ勝利を挙げ、プロ通算成績は150勝136敗、防御率は3.76。エースとしてチームを支えてきた。
石川のストレートは140キロに満たない。しかし、そのストレートを速く見せるために多彩な変化球を操る。特にキレ味鋭いシンカーは、これまで相手打者を席巻してきた石川の生命線というべき球種だ。
そして何より、石川の特長は抜群の制球力。それを裏づけるデータが与四球率だ。与四球率とは、9イニングに平均して与えている四球数の割合を表していて、その数字は低ければ低いほどいい。
27日の試合終了時点で、2000投球回以上を投げている現役投手は石川を含め4人しかいない。その4投手の通算の与四球率をランキング形式で表すと以下の通りとなった。
◆現役4投手 通算の与四球率と投球回数(2000投球回以上)
1位 石川雅規(ヤクルト)1.71(458個)2413回1/3
2位 黒田博樹(広島)2.24(499個)2003回2/3
3位 三浦大輔(DeNA)2.42(879個)3265回1/3
4位 杉内俊哉(巨人)2.64(614個)2091回1/3
※()内は与四球の数、黒田の成績はNPB記録のみ
DeNAの三浦は通算172勝、巨人の杉内は通算142勝で、2人ともコントロールの良い投手だ。それでも与四球率は2点台。それに比べ石川は1点台の数字をたたき出している。
参考までに、2000投球回には未達だが、100勝以上を挙げているその他の現役投手の与四球率も見てみる。
◆その他の100勝以上の現役投手 与四球率
金子千尋(103勝) 2.19
内海哲也(124勝) 2.31
岸孝之(101勝)2.31
和田毅(121勝) 2.41
涌井秀章(118勝) 2.68
松坂大輔(108勝) 3.22
※和田、松坂の成績はNPB記録のみ
実績豊富な各チームのエース級投手と比べても、石川の1点台という与四球率は群を抜いている。小さな体で勝ち星を積み上げてきた要因は、この数字が示す通り、球界屈指の制球力にあったといっても過言ではない。