気になる中日の中途半端な起用法。首脳陣は来季に向けて選手の”見切りを”【小田幸平の眼】
セリーグ最下位に沈み、谷繁元信監督休養後も8勝12敗と大きく負け越している中日ドラゴンズ(8月31日現在)。現在のチームにはいったい何が足りないのか? ドラゴンズOBで評論家の小田幸平氏に話をうかがった。
2016/09/03
若手は今が“盗みどき”
――谷繁元信監督休養後、森繁和ヘッドコーチが監督代行として指揮する中日ドラゴンズですが、なかなか波に乗れません。直近では3連勝しましたが、それ以前は大きく負け越していました。小田幸平さんは現在のチーム状況をどのようにご覧になりますか?
小田 チーム全てが中途半端のような気がします。たとえば、ダヤン・ビシエドやリカルド・ナニータが離脱する中、ガラッと若手選手に変えてオーダーを組んでいるかというとそうでもない。
あと、首脳陣の“見切り”が欲しいですね。阪神(タイガース)が原口(文仁)の捕手起用をやめて坂本(誠志郎)を起用していますが、これも一つの見切りです。いろいろな選手にチャンスを与えるのは良いことですが、どうしても中途半端に感じてしまいますね。
――ファンとしても、一気に若手に切り替えたり、来季を見据えた起用を貫いてもらえたりすれば、多少の黒星はガマンできるような気がします。
小田 「こうするんだ」というハッキリした方針があると、観ているほうも納得するでしょう。
――選手側についてはいかがですか?
小田 うーん、やっぱり若手選手はチャンスがいっぱいあるのに掴みきれていないのがもったいないですね。森野や吉見の活躍は嬉しいけど、「結局は森野(将彦)頼りか」と思ってしまう部分もある。若手でもっとワクワクする選手が出てきてほしいね。
――ワクワクする選手! それは本当に大切ですね。
小田 打席に立つだけで何かしてくれるんじゃないかとワクワクする選手がいれば、お客さんだって球場へ行きたくなるでしょう。ワクワクする選手に出てきてほしいし、チームとしても育てていかないといけないですよね。
――現状では、野手、投手、全部に言えることかもしれません。
小田 あと、若手選手が森野や荒木(雅博)から何かを盗めるタイミングは今だけですよ。今は彼らも試合に出ていますが、いつまでも出られるわけではないですから。ベテランと若手の入れ替わりの時期でベンチも試行錯誤していますが、若手は積極的にベテランの技を盗んで、自分たちが主力になったときのために備えておかないといけないでしょう。
――投手陣はいかがでしょう? 特に若手のブルペン陣は、一試合抑えても次の試合で打たれてしまうケースが多い気がします。
小田 多いね! あるときは調子良く抑えても、次の登板ではポンポン打たれてしまう。投げてみないとわからない感じですよね。見ていても、一球一球に魂を込めて投げているように見えないんですよ。意味のあるピッチングをしていないんです。
――そんな中、吉見投手が好投を続けて凄みを見せつけています。
小田 まさに若手投手は“盗みどき”ですよ。いなくなってからでは遅いんです。吉見にはまだ投げ続けてもらいたいですけどね!