カープ・野村祐輔をエースに押し上げた、オフからの『周到な準備』。進化した内角の使い方
優勝に向かって突き進むカープ。今季先発陣の柱へと成長した野村祐輔だ。すべては昨年オフの冬から始まっていた。
2016/09/02
シュートが投球に幅
内角球はキャンプから力を入れてきた。シュートである。これまで、プレートの三塁側を踏んでいたが、「シュートを投げるのに窮屈」ということで、一塁側を踏んで投げるようにした。
「これで、例年と違った投球ができるようになりました。シュートはカウントを整える球にもなったし、引っ張りに来る右バッターはファールになるので、それでカウントが稼げます」(野村)
本来から、外角低めへのコントロールの良さには定評がある。そこに、精度を増したシュートが加わることで、まさに「鬼に金棒」状態となったのである。
優勝へのカウントダウンが始まったチームにあって、野村はフル回転を続ける。ここから先も好投を誓う男の意識は極めて高い。中6日の期間も、トレーニングやケアに余念がない。自主トレからの取り組みは、シーズン中も継続している。移動の多かった今年の夏も、睡眠時間はしっかり確保してきた。むしろ、「少し練習量を落とした時期のほうが、体の調子としては比較的良くなかった」と言うほどである。
25年ぶりの悲願へ、チームはラストスパートに入った。歓喜のリーグ制覇はもちろん、クレバーな野村のことだ、その先も見据えているはずである。
イニング数、安定感、ゲームメイク、先発ローテーション投手の責任を背負いながら、背番号19はVロードを歩む。その先に、カープの夢と15勝も見えてくるはずである。