穴がなかったカープ。本来の力を発揮した攻撃陣、黒田を手本に「打者に立ち向かった」投手陣【小宮山悟の眼】
広島東洋カープが25年ぶりにセリーグを制した。優勝できた要因はどこにあったのだろうか。
2016/09/11
開幕前に広島を優勝予想した理由
広島東洋カープが、順調すぎるほど順調にセリーグのペナントレースを独走し、10日に25年ぶりのリーグ制覇を果たした。
手前みそで恐縮だが、私はシーズン開幕前の順位予想で広島を1位としたので、個人的にも今回の優勝を素直にうれしいと思う。
さすがに8月中にマジックが点灯する展開は想像していなかったが、投打にバランスの取れた戦いぶりは見事だった。
開幕前の予想で、私はまずセリーグが混戦になると想定した。勝率5割前後で争われるサバイバルレース。まず、弱点を抱えるチームが脱落する。逆の言い方をすれば、欠点のないチームが抜け出すことになる。
そうやって、減点法で考えていったとき、広島が一番、穴のないバランスの取れたチームだと映ったわけだ。
私は昨年、広島が4位に終わった主な原因は、大事な場面で機能しなかった攻撃陣にあったと思っている。チーム打率や、チーム得点を見ると、驚くほどひどい数字ではないが、あと1本のヒットが出ないとか、がんばる投手を援護できない、というイメージの試合があまりに多かった。
だが、今年は打線が大きく復調するだろうと思える要因が、いくつもあった。エルドレッドが開幕から出場できる。中日からルナが加入。菊池や丸ら、本来の力を発揮できなかった選手たちに関しても、2年連続で不調が続くとは考えにくい。攻撃力は絶対にアップすると予想できた。
実際、今年の広島打線は私の期待通り、いや期待以上の結果を残している。先に挙げた選手以外にも鈴木誠也が大ブレイク、新井も勝負強さを発揮した。
そもそも、昨年の打線も得点能力が低かったわけではない。これが本来の力だ。決して強力打線ではなかったが、それなりに確実に得点できそうなメンバーが並んでいたのだ。ちなみに私は、選手たちが額面通りの活躍をしたら、昨年も優勝できたと思っている。