中島の獲得失敗に終わった阪神にOBが提言。今改めて求められる〝ビジョンあり〟の補強戦略
鳥谷の動向が決まらない状況下で、阪神の補強は例年以上に遅れている。しかし、進まぬ補強を嘆くよりも、生え抜きに目を向けるチャンスとも考えられるのではないだろうか?
2014/12/18
中島裕之の獲得に失敗
鳥谷敬のメジャー移籍が現実味を増しているが、それにしても一向に進まないのが阪神の補強である。
なかでも、鳥谷の後釜として獲得を目指していた中島裕之をオリックスにさらわれるなど、レベルダウンは必至。来季の戦いに、早くも暗雲が立ち込めている。それにしても、なぜここまで補強がうまくいかなかったのか。
そもそも、鳥谷の移籍をどれだけの人が把握していたのだろうか。今回の一連の流れを見ていると、事が起きてから対応策を探しているようにしか思えない。その象徴がすでに報道されている、大和のコンバート案である。外野手としてゴールデングラブ賞を獲得した選手を、わざわざコンバートする必要があるのだろうか。もし鳥谷が抜けるだろうと想定している人間がいれば、そのような事態にはならなかったのではないだろうか。
阪神の補強について、こんなことを指摘する声もある。
「大きな原因はビジョンを描けていないことだと思います。本当に必要な選手は誰なのかがはっきりしていない。とりあえず、実績があって獲得できそうな選手を獲ってきた。選手層を厚くするという意味ではそれも間違いではないと思いますが、支払った金額分の活躍をしたかとなると、疑問が残ります。その選手がいまどんな状態なのか、調査不足は否めません。要はピンポイントの補強をしてこなかった。獲ることに満足してしまっていた部分はあるのではないでしょうか」
実際にこれまでの阪神の補強を振り返ってみよう。たとえば、2010年にメジャー帰りの城島健司を獲得した。
1年目こそ144試合に出場したが2年目以降はケガに苦しみ、2012年に現役を引退した。翌年にはロッテをFAした小林宏之を獲得したものの、わずか1勝しか挙げられず、おまけに期待の若手だった人的補償で高濱卓也を失った。
さらに昨年は福留孝介、西岡剛といったアメリカから復帰したふたりを獲得するも、チームを変える存在には至っていない。こういった大物選手の獲得により、若手の起用機会が限られる結果にもつながったことは否めない。将来の中軸として期待された森田一成や野原祐也といった選手たちが戦力外となりチームを去った。