中島の獲得失敗に終わった阪神にOBが提言。今改めて求められる〝ビジョンあり〟の補強戦略
鳥谷の動向が決まらない状況下で、阪神の補強は例年以上に遅れている。しかし、進まぬ補強を嘆くよりも、生え抜きに目を向けるチャンスとも考えられるのではないだろうか?
2014/12/18
〝育成の阪神〟に変わるチャンス
阪神OBの藪恵壹氏も阪神のチーム作りについてこう語る。
「補強してチームを強くするという考えはいいと思いますが、はたして3年先、5年先を見据えたチーム作りをしているのか。まずは生え抜きを育てることを最優先に考えるべきです。今の阪神を見ていると、補強ありきでチームを作っているように思えます。だから、今回のように鳥谷が抜けポジションが空いたにもかかわらず、後釜候補が出てこない。常に先を見てチーム作りをしていかないといけない」
そして藪氏は、このオフ、補強がうまくいかなかったことは逆にチャンスととらえるべきだと指摘する。
「強いチームというのは、生え抜きが中心にいます。巨人を見ても、阿部慎之助、坂本勇人、長野久義など、チームを支えているのは生え抜きの選手です。阪神も生きのいい若手がいるわけですから、時にはポジションを与えることも必要だと思います。伝統チームゆえ、勝つことを宿命づけられているのはわかりますが、これを機に〝育成の阪神〟に変わってみてはいかがかと思いますね」
もう、条件がいいというだけで選手を獲得できる時代ではない。
選手にとって最も大事なことは、チームがどういう方向に向かっていて、その中で自分は本当に必要な選手であるかということだ。
そのためにも、まずはチームの骨格というものを1日にも早く築き上げる必要があるのではないだろうか。
今の阪神には中村勝広GMという編成においてはっきりとした責任者がいる。
これまでのように補強に頼ったチーム作りをするのか、それとも自前の選手を鍛え上げていくのか。ファンも期待はもちろん、金銭的にもどっちが有効なのかはっきりしていると思うのだが……。