柳田離脱もマジック点灯、苦しい時こそ頼れる捕手・細川と鶴岡の存在感。「経験豊富なベテラン2人はホークスの強み」
王者の底力を見せる時がきた。福岡ソフトバンクホークスには、経験豊富な二人の捕手がいる。こういう時に頼みになるのはベテランだ。
2016/09/03
限られたチャンスをモノにできるか
11対3とロッテを大きく突き放して勝利した8月26日。前日、楽天の茂木栄五郎にランニングホームランを浴びて逆転負けを喫していただけに、チームはこの大勝に沸いた。しかし、ただ一人浮かない表情をしていたのが拓也だった。
16試合ぶりの出場は嬉しくもあり、プレッシャーもあった。むしろ、自分自身にプレッシャーを与えていたのかもしれない。バッテリーを組んだのはプロ初登板の加治屋蓮。緊張が見ている側にも伝わってくるほどの表情で9点リードの最終回に登板し、1点を失った。それでも加治屋はプロ初アウトがデスパイネから奪った空振り三振だったことなど、「スタートラインに立てたことは嬉しい」と、プロとして一歩を踏み出した満足感に溢れていた。それとは対照的に、拓也は「一回のチャンスで結果を出さないと……」とため息交じりに小さく言葉を吐き出すのがやっと。空振り三振とバットでも結果を出せなかった。
同級生の斐招が開幕スタメンを果たした頃、拓也は2軍にいた。「悔しかったです。でも自分のやれることをやるだけ」と、ファームで出場を重ねてきた。
清水将海コーチは「ベテラン捕手の中に拓也も喰い込んでいけるように頑張ってほしい」と期待を込める。与えられるチャンスは少ないかもしれないが、3人目の捕手として出番はあるはず。グラブに施された「人はヒト!」の刺繍のように、拓也らしく思い切りプレーしてほしい。
優勝へ向けて、鶴岡はこう話していた。
「相手は気になるけど、自分たちが勝つしかない。この時期は身体もしんどくなってくる。そんな中、チームが一つになることが大事。より多く一つにまとまれたチームが勝つと思う」
王者の底力を発揮するときがやってきた。