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首位打者ほぼ確定の角中、断トツの打率を残せる理由――「心」よりも「体と技」

今季パリーグの首位打者は、角中勝也がほぼ手中に収めたといっていい。成績を見れば、ダントツのトップ。今季好調の要因はどこにあったのだろうか。

2016/09/06

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技術力は年々向上

 とはいえ、それは意識をどう持つかの問題であって、そこには技術の裏付けがないと結果に表れない。それが今季うまくいっている要因だ。

 角中は打席に入った時、自身のその日の調子がどの状態なのかが分かるのだという。試合の1打席目、相手がボールを投げる以前、状態の良し悪しが確認できる。そして、その中で、どういうアプローチをして相手投手に向かうべきなのかを熟知しているのだ。

 角中は言う。

「これは野球をやっている人なら、誰にでもわかることなんでね、言葉では説明できないんですけど、自分の体の状態はすぐにわかる。それで、今日はしっくりこないなと思ったら、自分の中で打ち方を変えて、打席に入っています」

 角中は打ち方を変えていると言っているが、傍目ではその違いは全く分からない。角中だけにしかわからない、体の使い方の誤差というレベルの違いだ。

「映像で確認すれば、僕にもわからないくらいの違いです。ただ、自分の中では変えている。例えば、どこに体の重心をどこに置くかを微妙に変えているんです。今日はこっちだな思ったら、右足に重心を置いたり、ある日は左足を重心にしたりという風にです」

 誰にでも調子の良し悪しはあるのだが、“しっくりこない”という状況下の時に、どう対処していくかが“技術力”なのだという。

「技術力の引き出しは、年々、増えていると思います。それは年を重ねれば重ねるほど、技術力は上がっていくものだし、これからも引き出しは増やしたいなと思います。究極の目標を上げれば10割打者ですけど、それは絶対にできないこと。でも、そこに近づけるためには、少しでも技術力を上げなければいけないと思っています」

 そして、その技術を発揮するために必要なのが体なのだ。

 角中の今季は体の状態がいい。
 
「体の状態がいいから、練習ができる。去年は、体がきつかったんで、練習は適度にして試合に臨むという形でした。今年はきっちり練習もできて試合に迎えているので、それだけ体の充実は感じています」

「何も変えていない」という言葉に端を発する、彼の野球理論は体を第一主義に考え、その中でいかに技術力を発揮していくかに尽きるというわけだ。

 角中は言う。

「本当に、その日その日で調子は違うので、納得できない日もある。確かに納得できる日が増えていますけど、別に、だからといって、僕にとってはそれが『今日はフツーやったな』というだけで、良くない日も訪れるわけですから。この世界は結果が大事なのは間違いないですけど、長い目で見たら、感覚のほうが大事かなと思います。
 
自分は切り替えが早いほうですけど、メンタルは強くないです。でも、結果を残している人のメンタルが強いかってそういうわけじゃない。僕は体がしっかりできていることが大事だと思うし、結果が良くなったことの答えが技術と体力だっていう考えですね」

 角中が高めに強いから「角中ハイボール」とすれば、記事の見出しにはなるかもしれない。
 しかし、彼の打者としての真髄を紐解くと、もっと奥深いところにある。

「体・技・心」――。
 その考えが角中の驚異的なバッティングを支えている。

 パリーグのリーディングヒッター(9月5日現在)
1 角中勝也(ロッテ).346
2 西川遥輝(日本ハム).307
3 柳田悠岐(ソフトバンク).306
4 陽岱鋼 (日本ハム).305
5 浅村栄斗(西武).305

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