「味方を助け、勝利に導く」伊藤大海こそ真のエース【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#252】
交流戦を2位で終え、好調をキープしたままいよいよ夏場のペナントレースが始まる。再開初戦、伊藤大海がまさにエースにふさわしい力投で勝利を呼び込んだ。
2025/06/29 NEW
産経新聞社

ミスを取り返した中島卓
交流戦が明けて、リーグ戦の再スタートだ。6/27、西日本では早々と梅雨明けが発表され、この日の所沢も最高気温30℃超え、タフな夏場のペナントレースが始まった。ファイターズは交流戦優勝こそソフトバンクに譲ったものの、11勝7敗で2位につけ、大崩れすることなくリーグ戦に戻ってきた。広島戦の7点差大逆転、巨人戦の北山亘基ノーヒッター未遂(完投勝利)など、沢山のドラマをつくって、チームとして成長できたように思う。
そうして迎えた西武戦9回戦(6/27、ベルーナドーム)、先発は伊藤大海、今井達也の両エースだった。何か「開幕戦再び」という感じの緊張感がある。それにしても西武はこの3連戦、今井達也、隅田知一郎、渡邉勇太朗と表ローテの強烈なところを当てて来るらしい。うはぁ~、とため息が出る。阪神・才木浩人、DeNA・バウアー、中日・松葉貴大etcと難敵に当たり続けて、そんなもん急に打てるかいと愚痴っていたら、リーグ戦に戻っていきなり今井、隅田だ。パ・リーグというよりプロ野球のベストピッチャーを当てられる。考えてみればそれは仕方ないのだ。ファイターズは首位にいる。今井やモイネロを当てられ続ける素敵な夏だ。元気いっぱい、「包囲網」をはね返そう。
西武9回戦はよくない形で先手を取られた。2回裏、ネビンの2塁打を皮切りに長谷川信哉に繋がれ、無死1、3塁。源田壮亮三振の後、山村崇嘉の球足の速いショートゴロを名手中島卓也が弾いてしまう。ゲッツーを焦る一瞬のスキだったろうか。エラーで失点。3回裏には(ケガから復帰した)渡部聖弥にホームランを喫し、スコア0対2。今井相手に2点のビハインドは苦しいなと誰もが思った。
ところが4回表、田宮裕涼の3号ソロ(田宮裕涼の「涼」という字がありがたい)というを足がかりに同点に追いつくのだ。清宮幸太郎ヒット、上川畑大悟四球で2死1、2塁、万波中正に3球投じたところで今井が突然、マウンドでしゃがみ込んでしまう。どうやら熱中症だ。何と今井は3回2/3、81球で緊急降板となる。急きょマウンドに上がった山田陽翔は万波四球で満塁をつくり、続く中島卓也も四球で押し出し。スコア2対2。驚いたことに「今井相手に2点のビハインドは苦しい」が思いも寄らぬ形で全部消えてしまった。
※ちなみにこの日、ヤクルト・田口麗斗、巨人・大勢もそれぞれ神宮、東京ドームで体調の異変を訴え、緊急降板している。