「信じて、つなぐ」カープ野球で25年ぶりV。石井、東出両コーチが打線にもたらした意識革命
広島東洋カープは、10日東京ドームで行われた読売ジャイアンツ戦に6-4で勝利。1991年以来25年ぶり7度目のセリーグ制覇を果たした。
2016/09/10
後ろの打者へつなぐ
トップバッターの田中は、持ち味である積極性だけでなく粘り強い打撃に取り組んだ。
「1球見ることで、相手に球数を投げさせることができることもあり、フォアボールを取る機会も増える」と狙いを把握していた。
チームトップの安打数を誇り天性のバットコントロールを誇る2番打者の菊池もはっきりと言い切る。
「進塁打を打とうとしている中で、打球が1・2塁間を抜けているだけです。キャンプでやってきたことが出てきているだけです。基本的には「次につなげること」しか考えていません」
この陽気な2番打者に「犠牲」「我慢」といった悲壮観はない。むしろ、野球というゲームの仕組みを考え、「楽しみながら」ランナーを進めている感すらある。
3番の丸までもが、後続の打者にチャンスを託す意識で打席に入っていた。そこに、39歳の新井貴浩の存在である。2000安打という大記録を目前にしても、チームの勝利を最優先に考え、全力プレーを怠らない姿は、ナインに絶大な影響を与えた。外国人選手のルナまでもが言っていた。
「新井は、その全てが最高のお手本です。私も、チャンスをうしろにつなぐ意識を持っています」
チャンスをつくる、拡大する、次の仲間に託す。だからこそ、余計な力みやプレッシャーとは無縁である。なぜなら、常に、打席に立つ選手の後ろには、最高の仲間が控えているからである。