4年連続2ケタ勝利遠のく? 「勝てない」藤浪晋太郎の明確な課題【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、阪神・藤浪の「勝てない理由」についてだ。
2016/09/08
Getty Images
今季の藤浪は初回の失点と球数の多さが問題?
6日、甲子園で行われた読売ジャイアンツ戦に登板した阪神タイガースの藤浪晋太郎は、5回被安打8、4奪三振の自責点3で降板し、11敗目を喫した。
プロ入団以来、1年目10勝6敗、2年目11勝8敗、3年目14勝7敗と順調に勝ち星を伸ばしてきたが、今季は6勝11敗と高卒新人のデビューから4年連続2ケタ勝利の可能性はほぼなくなったといえる。
負けが先行している理由はどこにあるか?
今季の藤浪ははっきりと指摘できる問題点がいくつかある。
1つ目は、初回の失点。
セリーグの規定投球回数以上の投手の中から、初回の総失点数から多い順に並べた。
藤浪は2位の東京ヤクルトスワローズ・小川泰弘の倍近い23失点だ。
端的に言えば藤浪が登板すれば、阪神は初回から敵にリードを許すことを覚悟しなければならない。これは士気にかかわる。
先発投手は立ち上がりが課題とされるが、それにしてもこの失点は多すぎる。
2つ目は、投球数の多さだ。
セリーグの規定投球回数以上の投手を、1回あたりの投球数の多い順に並べた。
セでこの数字が最も良いのは昨日、藤浪と投げ合った巨人・菅野智之の15.42。藤浪は17.65でワースト。その差は2.2球に過ぎないが、100球に換算すれば、菅野は6.5回投げられるのに対し、藤浪は5.7回となる。
6日の試合も5回105球で降板となった。投球数が多くて、序盤から追いかける展開となれば、当然勝ち星は増えていかない。チームにしても藤浪が投げるときは、救援投手を3人は用意せざるを得ず、負担をかけている。
慎重さを心掛けた結果、投球数増につながっているのかもしれないが、来季以降を考えると、効率の良い投球を追い求めない限り、活路は開けないだろう。