4年連続2ケタ勝利遠のく? 「勝てない」藤浪晋太郎の明確な課題【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、阪神・藤浪の「勝てない理由」についてだ。
2016/09/08
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失策がらみの失点が多い
3つ目は、失策がらみの失点の多さ。
セリーグの規定投球回数以上の投手を、失点率が大きい順に並べた。
失点とはその投手が投げている間に失ったすべての点、自責点はそのうち投手に責任がある失点。失策が絡んだ失点は、原則として自責点にはならない。
藤浪は自責点と失点の差が16と、セの先発投手の中で飛び抜けて多い。そのために、失点率はセでワーストの4.52になる。
防御率3.54は、先発投手としては合格点がつけられる数字だ。一方で失点率は高い。
つまり、たとえば野手が失策などをして、出塁を許した際に踏みとどまれないことが多いといえる。
ドラフト施行後、高卒で新人から4年連続で2ケタ勝利を記録したのは鈴木啓示(15年連続)、森安敏明(4年連続)、江夏豊(9年連続)らがいる。高校時代、圧倒的な存在だった松坂大輔も4年目には6勝に終わった。
そういう意味では、藤浪は傑出した存在だ。高卒投手はこの時期に壁に当たるとも言えよう。
今季、残りの登板で2ケタ勝利を目指してほしいが、それ以上に投手として一段の進化をすることを期待したい。