ヤクルト逆転CSへの望み。石川&中村「最優秀バッテリー」が見せた意地【新・燕軍戦記#31】
9月13日の横浜DeNA戦に敗れ、自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出が消滅した東京ヤクルトスワローズ。その窮地でわずかな望みをつないだのは、昨年のセリーグ最優秀バッテリーに輝いた石川雅規と中村悠平のコンビだった。
2016/09/16
石川「『CSはあきらめないぞ』という気持ちでマウンドに」
3対2──。神宮球場のスコアボードに映し出された最終スコアは、ヤクルトがクライマックスシリーズ(CS)進出に、わずかな望みをつないだことを物語っていた。
セリーグ3位の横浜DeNAを迎え、9月13日から行われた2連戦。その初戦に敗れた4位ヤクルトはゲーム差を4.5に広げられ、この時点で自力でのCS進出は消滅した。続く14日の直接対決も落とせば、CSへの出場はほぼ絶望的となる。その大事な一戦で先発マウンドに上がったのは、プロ15年目の石川雅規(36歳)だった。
「こういう現状も僕らが招いたことなんで、なんとか最後まであきらめることなくというつもりでマウンドに上がりました。僕らは結果がすべてなんで、特に今日はしっかり結果を出さなきゃという思いでした」
試合後、石川はそう振り返ったが、その気迫は見ているこちらにもビンビン伝わってきた。2回には味方が四番・ウラディミール・バレンティンの30号ソロで先制。5回には五番・雄平の適時打で2点を加えても、お立ち台で「点数を守るんじゃなくて、攻めるという気持ちで投げることができました」と口にしたように、8回途中で交代を告げられるまで懸命に腕を振り続けた。
「試合前もロッカーで石川さんが『絶対に勝つ』っていうふうに強い気持ちで話してたので、その気持ちが守ってても伝わった」
この試合で打のヒーローとなった雄平は、石川とともに上がったお立ち台でそう明かした。実は石川自身はこの発言を否定し、雄平も一度はこれを打ち消したのだが、家路に就く直前、雄平はあらためて振り返った。
「でも、そんな感じのことを独り言のように言ってましたよ。今日は気合入ってましたもん」
石川のその気合、気持ちの強さには、高津臣吾投手コーチも舌を巻く。
「すごいプレッシャーのかかるゲームで力を発揮できるのが彼の強さ。技術どうこうじゃなく精神力の強さだね。ここまで来たらもう全部勝たなきゃいけないので、今日の(石川の)姿勢なんかはみんなに見ていてほしい」
今シーズンは球団史上3人目の通算150勝も達成。しかし、この日でようやく7勝8敗、防御率4.39という成績に、石川は納得していない。何より不本意なのが左ふくらはぎ痛のため、2カ月近く戦列を離れたことだ。
「今年は2カ月ほど離脱している分、投げる試合で返していきたいっていう思いはあります。まだ負けの方が多いですし、防御率も悪いですけど、なんとか『CS(進出は)あきらめないぞ』という気持ちを出してマウンドに上がりました」
そこには、長年にわたって「燕のエース」と呼ばれた男の意地があった。