サブローが手渡したバットに託された、香月一也へのメッセージ。大ベテランと接し、大きく変わった1年【マリーンズ浦和ファーム通信#28】
千葉ロッテマリーンズの香月一也は今季、打撃不振で悩んだ時期があった。そんな時、大ベテランのサブローに呼び止められた。
2016/09/10
千葉ロッテマリーンズ
大ベテランからの一言
「オレのバットを使ってみるか?」
ある日の二軍戦の試合前、香月一也内野手はふと呼び止められた。声の主はサブロー外野手だった。突然の提案にただ、困惑した。渡されたバットを振ってみた。ちょっと重いと感じたが、スイングにフィットする独特の感覚があった。
「それまで打撃不振で悩んでいたんです。そんな姿を見てくれて、なにかキッカケを頂いたのかもしれない。突然でビックリしましたけど、声をかけてくれたことが本当にうれしかったですし、バットをプレゼントしてもらったことがありがたかった。バットもバランスがよくてグリップがちょっと細くて、グリップエンドは太い形なのですが握りやすかった」
その試合、香月一也は猛打賞を記録した。
ただ、バットを代えただけだったかもしれない。しかし、それがプロ通算22年間で1781試合に出場し1362安打、127本塁打の実績を持つマリーンズの看板選手が使い続けている秘刀だと思うだけで気分が高揚した。
消極的になっていたスイングに力強さが戻った。ヒットを放った後、塁上からベンチを見ると大先輩は笑って拍手をしていた。自分が結果を出したことに対して、笑顔を見せてくれていることが心に染みた。香月はその試合をキッカケに、それまではイースタンリーグ規定打席到達選手の打率10傑に入っていなかったが、上位に食い込み、2位にまで駆け上がった。
「打撃に関しては自分が左打者でサブローさんが右なのでちょっと違うかもしれませんけど、練習の時、いつも見て参考にさせてもらっていた。あと、試合に入る時のスイッチの入り方が違う。雰囲気が急に変わる。プロの凄さを感じました」