巨人・坂本と広島・鈴木、初づくしの首位打者タイトル争い。25年前カープV時は古田・落合でデッドヒート
今季のセリーグ首位打者争いは、巨人・坂本勇人と広島・鈴木誠也にほぼ絞られた。
2016/09/13
過去にもあった右打者同士のし烈な争い
プロ4年目の広島・鈴木は現在、打率.333でリーグ2位。得点圏打率は坂本を上回る.347でリーグ6位の成績だ。逆転での首位打者を目指すには、残り11試合でとにかく安打を重ねていくしかない。
今季は6月17日のオリックス戦(マツダ)の延長12回、プロ初のサヨナラ本塁打を放つと、翌18日には、2点を追う9回1死1、3塁の場面で左中間席へ逆転サヨナラ3ラン。緒方監督が「神ってる」と表現し、話題となった。
2試合連続のサヨナラ本塁打は史上10人目。球団では2人目となり、84年に長嶋清幸が記録して以来32年ぶりの快挙達成となった。
昨季は97試合の出場で打率.275を残した鈴木は今季大ブレイク。優勝を決めた10日の巨人戦(東京ドーム)でも2本塁打を放ち、強烈な存在感を見せた。広島東洋カープ25年ぶりの優勝は、この男なくしてはなし得なかったであろう。
そのカープが優勝した25年前の91年にも、激しい首位打者争いが繰り広げられた。当時プロ2年目のヤクルト古田敦也と、中日・落合博満の2人だ。
当時、古田は落合に4厘差で首位打者に立っていたため、リーグ最終戦を欠場する予定だったが、落合がナゴヤ球場で行われた広島との最終戦で6打数5安打を放ち、1厘差で古田を追い抜き、トップに立った。
このため、古田は欠場予定だった最終の広島戦(神宮)に3番捕手でスタメン出場。第1打席に広島・足立亘から三遊間を抜く安打を放ち、この時点で.341で再びトップに躍り出る。
古田は2打席目も立ったが、結果は三振。その後ベンチに退いた。打率は.3398とわずか3毛差で落合(打率.3395)を振り払い、捕手としては、当時ヤクルトの監督であった野村克也が南海時代の65年に記録して以来26年ぶり2人目。セリーグでは初となる首位打者捕手の誕生となった。
日本人の右打者による首位打者争いはここ数年では珍しいケースだ。坂本がこのままトップの座を守り抜くか、はたまた“神ってる”男・鈴木が驚異的な追い上げを見せるのか、どちらが制しても初の栄冠となる。熱いバットマンレースは、最後まで続きそうな予感だ。