限られた予算の中で知恵を絞り「巨像」に挑む。日ハムの生き様を堪能した1年【ファンがつける、北海道日本ハムファイターズ2014通信簿】
ファンによる2014年の通信簿。第5回目は北海道日本ハムファイターズだ。12球団共通で項目は4つ、各5点満点である。
2014/12/20
先発3本柱に守護神が総崩れ。次世代の先発組と谷元&宮西が支えた
【投手3点】
開幕前に「木佐貫、勝、吉川の3人で10勝もできないよ」と言われたとしたら、最下位脱出など夢のまた夢、暗澹たる気持ちになっただろう。
だが現実に、それは起きた。
先発陣は木佐貫1勝(前年9勝)、武田勝3勝(同8勝)、吉川3勝(同7勝)と柱となるべき3人が総崩れ。抑えの武田久も1セーブ(同31S)と選手生命の危機を迎えた。
にもかかわらず、最下位脱出どころかAクラス入りできたのは、若手の台頭があったからだ。
大谷11勝(同3勝)、中村8勝(同1勝)、上沢8勝(同0勝)、浦野7勝(新人)。20代前半の4人が揃って結果を出した。これはファイターズの生命線である育成が機能したということ。新陳代謝&経費節減を推進する球団にとって、思惑通りの結果が出たと言える。だれにでもチャンスが巡ってくる――。これは鎌ヶ谷組(二軍)の大きな刺激となったはずだ。
ベテランが不振に終わった中、投手陣が持ち堪えられたのは、宮西、谷元が踏ん張ったことも大きい。経験豊富なふたりの中継ぎがいなければ、「工場」は操業不能に陥っていたはず。改めて感謝したい。
西川や中島がかき回し、陽と中田が返すという形が機能
【野手4点】
ホームラン王アブレイユがまったく働けず、ミランダも期待未満。それでも得点数、ホームラン数ともにリーグ2位と打撃は機能した。これは変更の多いオーダーの中で、3番の陽、4番の中田が安定した働きを見せたことが大きい。
中田は打点王に輝き、途中から3番に座った陽も、打率.293、本塁打25本、打点85と全部門でキャリアハイの数字を残した。またリーグ最多134盗塁を記録した、足も見逃せない。盗塁王に輝いた西川をはじめ、中島、大引、陽と4人が20盗塁以上を記録。
西川は開幕前、「3塁打を増やしたい」と話していたが、公言通り、13本とリーグ最多の3塁打を放った。西川、中島がかき回して、陽、中田が返すという形が出来上がった。
一方、守備は猫の目のようにくるくると変わった。ポジションが決まっているのは、レフト中田とセンター陽だけ。北海道移転後のファイターズの生命線となってきた二遊間も、盤石だったとは言いがたい。リーグを連覇した06、07年は打順も守備も完璧にはまっていたが、当時と比べるとチームの形が流動的で落ち着きがない。これは使いながら育てる球団のカラーを考えると、致し方ないと割り切るしかないだろう。