“厄介な選手”西川遥輝。日本ハムVの立役者は高い出塁率・盗塁成功率と併殺打ゼロ
パリーグを大逆転で制した日本ハム。その立役者の一人が西川遥輝だ。栗山英樹監督は優勝インタビューでも、「遥輝の足」とチームの象徴として挙げていた。智弁和歌山高・高嶋監督の証言をもとに西川の魅力に迫る。
2016/10/04
M3で迎えたオリックス戦で見せた打者としての厄介さ
「指名してくれるところならどこでも。でも、できたら北海道以外がいいですね」
6年前のちょうどこの時期。智弁和歌山の練習グラウンドで取材を終え、雑談に移った時だった。スポーツ刈り程度に髪の伸びた西川遥輝は確かにこう言ったのだ。
それが間もなくして行われたドラフト会議で待っていたのは北海道日本ハムからの2位指名。結果を聞いた時には思わず、小顔のイケメンが苦笑いを浮かべる絵が頭をよぎったものだった。そのスタートから、今や、リーグを代表する“厄介な選手”に成長した。
改めて今年の活躍を振り返ると残した数字以上にチームへの高い貢献度が伝わってくる。リーグ2位の打率.314も極めて中身が濃い。例えば、こういうことだ。
M3で迎えた9月26日のオリックス戦(京セラドーム)、西川は5打席に立ち、相手投手陣に実に28球もの球を投げさせた。これはオリックスの5投手がその試合で投じた全137球の21%に当たる数。それだけでも勝利への貢献大と言いたくなるが、その上できっちり3本のヒットも放った。
8月末からは1番に定着したが、今年の西川はこれまでのシーズン以上に球を見ている印象だ。その分、勝負も遅くなり、三振もここまでリーグ8番目の113個と多くなっているが、その中での.314。実のある数字だ。
3、4月の月間打率は.235(98打数23安打)、5月も.250(56打数14安打)と乗れない滑り出しだった。しかし6月から調子を上げ.329(76打数25安打)、7月.329(79打数26安打)、さらに8月は.383(94打数36安打)、9月も.344(90打数31安打)。
加えて四球の数も4月から6月までの68試合で25個が、7月から9月では同じ68試合で47個。出塁率も7月.424、8月.500、9月.434と跳ね上がった。5月終了時点で26勝24敗、首位とは8.5ゲーム差の3位だったチームの夏場からの追い上げに西川の打撃成績が見事に重なる。