日本ハム、首位に立ったのはわずか14日間。「配置転換」の妙が化学変化【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#39】
北海道日本ハムファイターズが11.5ゲーム差を追いつき、パ・リーグを制した。
2016/10/04
優勝を明確なターゲットにできた武田勝の名言
最後は西武プリンスドームに日参した。自分はどうにもならないくらい泣き崩れるだろうなと思った。それくらい2016年のパ・リーグ優勝はものすごいことだった。
ファンの仲間たちと半ば冗談、半ば本気で「ソ・リーグ」(あまりにも突き抜け、孤高の存在になっていた)と呼んでいた雲の上のソフトバンクに追いつき、マッチレースの末、見事勝ち切ったのだ。
最大ゲーム差11.5だ。
これははるかにかすんで見えない。マッチレースになってからも8月下旬に一瞬だけ上に立ち、すぐ抜き返された。そのうちに「マイナス0.5ゲーム差」という(上なんだか下なんだかわからない)謎の順位に頭を抱えたりした。
敵地ヤフオクドームの天王山(9月21、22日)に連勝するまでは心のどこかに恐怖感があって「優勝」の2文字が言えなかった。言うと逃げる気がして「それ」とか「あれ」とか言ってたのだ。「それ」は果てしなく遠かった。「あれ」は険しい道のりだった。ペナントレースのトータルでファイターズが首位に立った日数はたった14日間だそうだ。
やっと安心して「優勝」の2文字を口にできるようになったのは、武田勝の引退会見が行われた9月23日だ。ベンチ前の円陣でぶち上げた名言「俺のために優勝しろ」。あれでやっとほぐれた。硬くなることなく「優勝」にフォーカスできた。それまでは追いかけること、競り負けないことだけでいっぱいいっぱいだ。どんなに強調しても足りないが、ソフトバンクは最強だった。