パ覇権のカギを握る西武・雄星。プロ初の2ケタ勝利、絶好調の理由
パリーグの優勝争いもついに終盤。おそらく最後の最後まで目が離せない展開となる。今後の両チームの日程をにらむと、ライオンズ戦、特に菊池との対戦がポイントとなりそうだ。
2016/09/16
菊池の成長を感じさせた2試合
今季の西武先発陣は、故障と不調が重なったこともあって、規定投球回をクリアした投手が一人もいない。菊池だけが唯一その可能性が残されているのだ。
当の菊池も過去、シーズン規定投球回をクリアしたことがなく、“その気”なのだ。
なにせ、今、菊池は絶好調だ。
先述したように、9連勝中であるだけでなく、8月26日の試合では自身初の2ケタ勝利を達成。9月2日のロッテ戦では勝利こそつかなかったものの、8回を粘投。そして前週、9月9日の試合では、3年ぶりとなる完投勝利を挙げている。
なかでも、近々2試合は菊池の成長を感じさせるものだった。
2日のロッテ戦では、石川歩と投手戦を展開した。
投手戦となると先に根を挙げることが多い菊池だが、この日は初回から球数が多かったにもかかわらず、粘りぬいた。今季初めて組む、捕手の森と苦心しながら、4回にスクイズで失った1点のみに抑える132球の熱投。相手の石川と同じ8回1失点を投げ切ったのである(試合は延長12回1-1の引き分け)。
内容が悪いながらに、粘りぬく。
その姿は、まるで球界のエースたちが見せるエースの背中だった。
もっとも、球数が130球を要していたのだから、内容が良かったわけではないのだが、それでも粘り強さを見せたことは彼にとって大きかっただろう。8回裏には2死満塁でデスパイネを迎えたが、サードゴロに打ち取っている。
これには試合後、菊池も手ごたえを感じたようだった。
「四死球が多く絡んでいたなかで、最少失点で切り抜けることができたのは今年一番の収穫でした。去年まではできていないことができるようになってきました。石川さんと投げ合えて、最後はデスパイネを迎えてしびれる展開のなか、2点目を失わなかったのは大きい。こういう積み重ねで信頼されるのかなと思います」
続く、次週のロッテとの再戦でも、菊池は好投した。
1回表、いきなり無死1、3塁のピンチを招くも、3番・角中勝也を投ゴロ、4番・デスパイネを併殺打に抑えてピンチを切り抜けた。2点を先制した直後の3回表にも、無死1、3塁のピンチを招くも、そこでは角中の犠飛のみの1失点に抑えた。
チームが追加点を挙げると、そのまま勢いに乗った。
前回登板とは異なり、球数の少ないピッチング。トータル5併殺を挙げて要所をしめ、三振だけではなく、打ち取るうまさを見せたのだった。
今季の菊池は技術と精神が一致し、さらに結果もつながった試合はあまり多くなかったが、このゲームの完投劇は、まさに、今季最高のピッチングだった。