マエケンの穴を外国人と若手で埋めた投手陣。カープVの要因【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回と2回続けて、他5球団と比較してカープVの要因を探る。
2016/09/18
Getty Images
今季の阪神先発陣5人全員のPRがプラス
打線に続いて、セ6球団の今年と昨年の主要投手の成績を比較して、今季の広島の優勝の要因を探っていく。
投手成績は、登板数、先発数、勝敗、セーブ、ホールド、投球回、防御率に加えて、PR(Pitching Run)を出した。救援か先発かは登板数が多いほうでグループ分けしている。
これは(リーグ平均防御率-個別の防御率)×投球回数÷9で算出される。リーグ平均防御率に比べてどれだけ優秀かという数値で、優秀な防御率で多く投げた投手ほど数値が高く、マイナスになることもある。投手のトップクラスで20以上、MVP級で30程度となる。
リーグ平均防御率は2015年が3.24、2016年は9月14日時点で3.72。
先発数上位5人(=先発投手)と、登板数上位5人(=救援投手)、そしてチームトータルの数字を出した。
13日現在で順位が下位の球団から見ていこう。中日ドラゴンズと阪神タイガース。
中日はチームのPRが7.11から5.33となり、リーグ平均より少し上だった。昨季は大野が207.1回、山井と若松が規定投球に達しないものの140回を投げたが、それに比べて今季は吉見の124.2回が最多でPRが10を超える先発投手がいない。ローテーションが固定できなかったともいえる。救援では田島慎二が孤軍奮闘している。
阪神は意外に思うかもしれないが、投手陣の数値が大きく改善している。先発投手のPRは5人ともプラスに変わった。藤浪晋太郎が大きく数字を落としている一方で、岩貞祐太、ランディ・メッセンジャーが上昇した。
救援陣はマルコス・マテオと安藤優也がプラスだが、他の投手はマイナス。救援陣の駒数が足りず、9回までの継投を確立できなかったのが要因だ。