「最後の試合は必ず勝ちます」。引退表明のDeNA三浦大輔が恩師と交わした約束
今季限りで現役を引退する三浦大輔。現役最後の登板で、24年連続勝利を目指す。
2016/09/21
ここ数年の会話で感じていた三浦の変化
横浜DeNAの三浦大輔が引退を表明した。
三浦は1991年、奈良県の高田商高からドラフト6位で横浜大洋ホエールズに入団した。92年にデビューを果たすと、93年9月4日の広島戦でプロ初勝利。94年にローテーション入りすると、97年に自身初めてとなる2ケタ勝利をマーク。98年からエースナンバー「18」を付けて12勝を挙げ、チームも38年ぶりの優勝、日本一にも輝いた。
以後、6度のオールスター出場、04年にはアテネ五輪に出場するなど輝かしい成績を残した。同一チームに所属した年数25年は、昨季に引退した山本昌に次ぐ歴代2位の記録でもある。フランチャイズプレイヤーとしてファンからの人気も高い。2014年からは投手コーチ兼任でチームを支えてきたが、9月20日、ついに現役引退を表明する記者会見を開いた。
そんな三浦に影響を与えた人物の1人が母校・高田商の元監督・山下善啓氏だ。 高校卒業後も交流があった二人の間にはどのような思い出であったのだろうか。恩師・山下氏に話を聞いた。
山下氏に本人から連絡があったのは速報ニュースが流れた20日の朝10時ごろのことだった。先にメールが入り返信すると、すぐ本人から電話があった。
「もっと早くに連絡しなければいけなかったんですが、すいませんという連絡でした。よく頑張ったなという話をしました」という山下氏によれば、引退はそう遠くない時期になるだろうというのは三浦とのやりとりの中でかつてから感じていたという。
「今までだったら、話していても引退する気は全く感じなかったんですが、今年は『僕も兼任コーチになって3年ですからね』という話をしていたんです。いつもと違うなとは感じていました。引退はそう遠くはないのかなと。実際に、兼任コーチというのは、見方を変えれば、肩を叩かれているようにも感じ取れるじゃないですか。その中で、今季はルーキーの今永投手や若い選手が出てきたこともあって、(引退を)決断したんじゃないかなと思います」
とはいえ、恩師の山下からしてもいつかはやってくると理解しつつも、三浦本人からの引退報告にはやはり残念な想いがしたという。
「ショックですね。今まであったものがなくなるという感覚といったらいいんでしょうか。いつも教え子に大きな夢を与えてもらっていましたから、ポッカリ穴があきました。テレビをつけてプロ野球がやっていれば、そこに教え子がいるという感覚で見ていましたからね」。
三浦が現役生活をつづけた年数は25年、教え子とともに歩んできた道のりはやはり短くはなかったということだろう。