「最後の試合は必ず勝ちます」。引退表明のDeNA三浦大輔が恩師と交わした約束
今季限りで現役を引退する三浦大輔。現役最後の登板で、24年連続勝利を目指す。
2016/09/21
コントロールの良さが長いプロ野球生活の礎に
三浦の母校・市立高田商は、奈良県では上位に進出する高校として有名なチームだ。山下が率いていた時も2度の県大会準優勝がある(うち1回は三浦が高校3年の時)。03年秋には、近畿大会でPL学園にコールド勝ちしたほどだ。
そんな山下がまだ若かりし頃に出会った三浦との日々は、果たして、どのようなものだったのだろう。
「大輔はコントロールが良かったですね。プロで長くやれたのは、もちろん、本人の努力もあるんですけど、あのコントロールがあったからじゃないかなと思います。あとは、肘関節の柔らかさは、持って生まれた彼にしかないものでしたね。つまり、肘がしなるんですよ。スロービデオで、よく分析しましたが、あれほどしなる選手は怪我をしませんから連投もききました。長くやれたことの一つだと思います」
そんな三浦がプロを意識し始めたのは高校2年を過ぎてからのことだった。
2年夏の奈良県大会で天理高と対戦。チームは試合に敗れたのだが、三浦はのちに全国制覇する天理打線から2ケタの奪三振を奪った。これが大きな自信につながった。
そのころから三浦がプロを口にするようになったという。
また、それが三浦らしいのだと山下は回想する。
「今の時代はそうではないかもしれませんけど、昔は謙虚でなければいけないという時代でした。そんな時でも、大輔はプロ野球選手になりたいということを思い切って口にしていました。それは、今の彼にもつながるんですけど、決して無言実行ではなく、有言実行なんです。自分が言ったことを実現する。口にすることによって、自分を奮い立たせて、頑張る子でしたね。当然、当時は馬鹿にしましたけど(笑)。大輔は目立ちたがり屋ですから、それを本当に実現していきました」