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下位低迷・西武、山川ら若手選手が躍動も……本当の意味の育成は進んでいるのか?

下位に低迷する西武の若手選手たちが活躍している。しかし、なぜ、彼らはシーズン当初は輝けなかったのか。そこには育成に潜む難しさがある。

2016/09/23

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それぞれに求められる我慢の起用と自覚

 現在、山川をはじめ、西武の若手は活躍中だ。
 果たして、この現状をどう受け止めているのだろうか。
 
 渡辺久信政権からチームに在籍する奈良原浩コーチに尋ねた。
 
「山川など、若手は今奮闘していると思います。それは試合に使ってもらえているんでね。1軍の試合で使えるスピードやスキルがどのレベルにないといけないというのを、身をもって感じていると思います。(1軍では)どれほどのプレッシャーがあって正確性が必要なのかをわからないと。練習とゲームでは違うわけですから。人間は失敗をしないとなかなか感じないので、それを経験してもらえればと思う。」
 
 貴重な経験を踏んでいると奈良原コーチは言う。
 しかし一方で、今の時期だからこそ許されている面も否定しない。
 今のようなチャンスをもっとシーズンの序盤に作ることはできなかったかと問うと奈良原コーチはかぶりを振った。
 
「今、現在ミスすることを見込んで試合に出しているというわけでありませんけど、許容されている部分はあると思います。その中で彼らは良くやってくれていると思うし、今の経験が糧になってくれれば、将来的にチームにプラスになるのかなと感じます。しかし、これが序盤だとそういうわけにはいきません。チームがどの位置にいるかというのも関係している。優勝争いの1試合とそうでない試合に掛かるプレッシャーは異なる。逆にいえば、優勝争いの中で、結果を出せるようになって初めて強いチームのレギュラーになれるということです。山川が現在14本塁打を打っているのは素晴らしいことだと僕は思います。けど、これがシーズン序盤だったら、どうなの?というとイコールでは測れないかなと思う」
 
 山川の本塁打を分析すると、ロッテのエース・涌井秀章から打った本塁打が2本、石川歩から1本、千賀滉大、森唯斗など福岡ソフトバンクホークスとの試合で打ったのが3本と好投手や上位チームから記録しているのは評価できることだ。
 
 一方、9月17日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦では、則本昂大が先発するとポジションの関係もあって、彼はベンチへと追いやられた。今季3打数3三振を喫した相手への課題は、来季に持ち越されたという現状もあるわけである。
 
 もっとも、山川を例に出したが、決して、これは彼に限った話をしているのではない。
 エースの座をつかみつつある菊池雄星にも言えることだし、捕手として奮闘中の森友哉、呉にも言えることである。
 
「選手が成長するためには、ある程度起用する我々が勇気を持たなくてはいけない」
 
 そういったのは、かつての読売ジャイアンツの指揮官・原辰徳氏だった。
 
 育成はそう簡単ではない。けれども、うまく循環していくためには起用する側にも、される側も、それぞれに覚悟と自覚が必要だ。おそらく、西武の若手が伸び悩んでいる背景には、どちらにも、その想いが欠けているのだろうと想像する。
 
 シーズン終了までの間に、西武はソフトバンク、北海道日本ハムファイターズとの対戦を控えている。
 上位にいる彼らが本気の戦いをする中で、その鼻息を感じることは若い選手の育成にとって非常に重要になるだろう。あとひと踏ん張り成長できるチャンスともいえる。
 
 首脳陣は若手を積極的に起用し、選手側も決死の覚悟で臨んでもらいたい。
 
「(相手が)優勝争いをしているチームとかはあまり関係ない」
 
 悲しくも西武の若手からそんな言葉が聞こえてきたが、そんな意識で臨まれては困る。もうひと踏ん張り、成長のチャンスがそこに転がっているのだから。

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