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オリックス最下位も福良監督続投。その決断の裏側【どら増田のオリ熱コラム#85】

昨年秋、オリックスの監督に就任した福良監督。チームは8月16日以降、最下位に沈んでいるが、福良監督の続投が決まっている。

2016/09/27

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福良―田口のホットライン

「一軍と二軍の入れ替えを積極的に行う」
 
 シーズン前にそう話していたのは瀬戸山隆三球団本部長だった。
 瀬戸山本部長は、昨年怪我人に苦しんだことから、いつでも入れ替えられるように選手層を厚くしたいと発言していたのだった。事実、今季、入れ替えは頻繁に行われた。
 
 球団の意図を理解し、福良監督と連携して1軍に選手を送り続けたのが今季からファームの指揮を執る田口壮2軍監督である。
 田口二軍監督は、開幕当初不振だったT-岡田を「いまからでも20本は打てる」と4月末に推薦。すると、T-岡田は現在19本塁打をマークするまで状態を上げた。それだけではない。今季途中に育成から支配下登録された園部聡は月日にプロデビューを果たすと、決勝打を放っている。シーズン終盤には、けた外れの身体能力を持つ2年目の宗佑磨が1軍に昇格。将来の遊撃手として期待するかのごとくスタメンで起用された。
 
 結局、今季一軍経験を積んでいない野手はプロ3年目の吉田雄人だけとなった。1軍もチーム状況に影響された点も否めないが、昨年までのチームの反省を生かし、選手を1軍へ次々と送り出したのである。
 
 昨年オフ、「福良新監督とともにチームが描いていくストーリーに田口さんは絶対に外せない」とする球団サイドの熱意に押されて現場復帰を決意。田口二軍監督としてオリックスに帰って来た。
 就任会見で「オリックスファミリー」というユーモアに満ちた言葉を使い、「福良さんなら一生仕えてもいい」「福良さんには10連覇してもらいます」と兄貴分である福良監督との友好的な関係性を語ったほどである。
 
 かつて、加藤康幸編成部長がふと漏らしていたことがあった。
「田口さんの2軍監督就任にはその先のストーリーをという想いもあるんです。それが将来の監督としてなのか、福良監督を支えるヘッドコーチなのかはわかりませんが、チームが描いているストーリーがあるんです」
 
 どういう形になるにせよ、福良―田口のホットラインの完成こそが、チームを作っていく側にも、観ているファンにも感情移入しやすい夢物語になると球団は考えている。
 
 そして、現在の1軍・福良―2軍・田口の強固な信頼体制を基盤にチーム全体を強くしていくという球団の狙いが透けて見えてくるのである。
 2年連続で早々に優勝争いから脱落し、目に見えた結果には表れなかった福良体制1年目。もう少し我慢が必要な時期なのかもしれない。
 
 福良監督の続投が発表されてからというもの、チームの状態はすこぶるいい。
 投手陣については、やや再建の必要があるが、来季に向けて舵を切ったチームはルーキー吉田正尚が台頭し、主砲のT-岡田、盗塁王争いをしている糸井嘉男、かつての姿を取り戻してきた中島宏之が高いパフォーマンスを見せている。今季大外れだった外国人を排除し、純国産打線が機能している。
 
 正捕手への道を着実に歩んでいる若月健矢に目処が立ってきていることもプラス要素といえるだろう。西野真弘、駿太ら中堅格の選手たちも研鑽の日々を重ねている。
 
 今季、広島が優勝したことで、オリックスが12球団で最も優勝から遠ざかるチームになった。だが、下を向くことは決してない。生え抜き初の監督である福良―田口のラインで本当の“黄金時代”を築きあげることができれば、未来が明るくなるはずだからだ。

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