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新監督決定間近の埼玉西武に生じる二つの疑問。チーム再建に不可欠なフロントのビジョン

今季シーズンを終えた埼玉西武は、すでに田邊徳雄監督が辞任。編成トップが新監督人事に着手している。球界の盟主とも言われた埼玉西武だが、3年連続Bクラスに低迷している。だが、その要因は本当に指揮官の問題だけなのだろうか。チームに潜む問題点を整理する。

2016/10/01

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常勝の礎を作り上げた故根本陸男師の教え

 田邊徳雄監督が辞任会見をして数日しか経たないうちに、早くも西武の新監督が決まりそうな情勢だ。球団OBで、今季中日の1軍作戦兼守備コーチを務めた辻発彦氏に要請したと報じられている。その大きな理由は、守備再建を任せるにうってつけの人材だから、ということだ。
 
 今季、西武は12球団最多の100失策を記録(9月28日時点)。簡単なエラーで落とした試合も多く、守備の立て直しが不可欠なのは明らかである。

 辻氏の監督としての手腕は未知数ながら、1980年代中盤から常勝西武を名セカンドとして支え、「強かった西武を取り戻す」「守備再建」というイメージを打ち出すにはこれ以上ない人物かもしれない。

 しかし、ここで疑問が二つ浮かぶ。

 まず、守備のうまかった元選手を監督にすれば、チームの守備力は本当に上がるのだろうか。

 次に、球団として守備再建にどこまで本気で取り組む気があるのか。

 そう感じるのは、西武の守備が10年以上かけて地盤沈下を起こしてきたからだ。今季、35年ぶりの3シーズン連続Bクラスという屈辱を味わうことになったのは、チームからビジョンが失われてきたためである。
 
 1998年まで西武に在籍し、2軍守備走塁コーチや1軍打撃補佐などを務めた熊澤とおる氏が、「僕は守備をちゃんとやった生き残り」と話していたことがある。
 同氏によると、西武に守備の大切さを植え付けたのは、管理部長として常勝の礎を築いた故・根本陸夫氏だった。

「(バウンドが規則的な)人工芝ではゴロが飛んでくる位置にグローブさえ置いておけば、ボールが入ってきます。あとはプロに入ってくる身体能力を持った選手だから、ビュって投げればアウトになる。それでも、当時のコーチ陣は守備の大切さを理解し、捕球、送球の基本から口うるさく言っていました」

 ところが根本氏の哲学は徐々に顔を潜め、いつしか身体能力に優れる選手が守備の基本を身につけないまま、喝采を送られるようになっていた。それが若き日の松井稼頭央(楽天)、中島裕之(オリックス)だ。

 二人は高い運動能力や強肩を持ち合わせ、他の選手にはできないようなスーパープレーを披露できる反面、ステップワークやスローイングという基本技術向上を疎かにしたがためのエラーも少なくなかった。
 

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