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新監督決定間近の埼玉西武に生じる二つの疑問。チーム再建に不可欠なフロントのビジョン

今季シーズンを終えた埼玉西武は、すでに田邊徳雄監督が辞任。編成トップが新監督人事に着手している。球界の盟主とも言われた埼玉西武だが、3年連続Bクラスに低迷している。だが、その要因は本当に指揮官の問題だけなのだろうか。チームに潜む問題点を整理する。

2016/10/01

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指導者にできることは限られている

 その流れはいまのチームにも見てとることができる。

 今季序盤、ショートで起用された金子侑司と外崎修汰、シーズン終盤に出場機会を得た呉念庭はいずれも高い運動能力を誇る一方、ステップワークやグローブさばきに改善の余地がある。結果、中島が抜けた2013年以降、正遊撃手が決まっていない。

 こうした選手たちの守備をレベルアップさせるうえで、監督やコーチの指導だけでは限界がある。

 2016年のチームにも、奈良原浩内野守備走塁コーチというかつての名二塁手がいた。
 シーズン終了後に退団したことから守備崩壊の責任をとったようにも見えるが、その指導が悪かったわけではない。

 たとえば9月21日に行われたオリックス戦の初回で、ショートの呉は安達了一の放った三遊間深くのゴロを正面に回り込んで捕球し、内野安打として出塁させている。だが捕球後のスローイング、そして安達の1塁までの走塁から判断すると、逆シングルで捕って投げればアウトにできていた可能性が高い。実際、呉は奈良原コーチにそのような指摘を受けたという。これだけですべてを語ることはできないものの、少なくともこの場面で、奈良原コーチは適切なアドバイスを送っている。

 ただし同時に、指導者にできることは限られている。結局、他者の教えから選手は自分で感じ、能力を磨いていくしかないのだ。

 一方、現場の意思決定者である監督にできるのは、一長一短を抱える選手たちの何を優先し、起用していくかの判断だ。

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