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柳田の穴が最後まで響いたホークス。投手・大谷の穴を埋めた増井と、野手・大谷のファイターズ【小宮山悟の眼】

今年のパリーグのレギュラーシーズンは、北海道日本ハムファイターズが4年ぶり7度目の優勝を飾った。一体、日本ハムの強さはどこにあったのか。

2016/10/06

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不調の増井の配置転換が吉

 もう一つのポイントは、クローザー増井の先発転向だろう。オールスターゲーム以降、指のマメをつぶした大谷が登板できなかったが、増井がその穴を埋めた。
 
 この転向劇の成功には、日本ハムの強さの秘訣が垣間見える。
 先発転向を目指した増井は、二軍の試合から投げ始め、80球、100球、110球と徐々に球数を増やしていき、遂には一軍の試合で完投・完封勝利も上げた。
 
 クローザーが不調に陥った時、先発へ転向させる起用法は、日本ハム以外のチームでも考えることだ。実際に投げさせてみたら、増井に先発でやっていけるだけのスタミナがあったことは、日本ハムにとってはうれしい誤算だったろう。
 
 ただ、6月のあの時期に、過去2年間、抑えとしてチームに貢献してきた投手の転向に踏み切ったのは、日本ハムならではの決断だったといえるだろう。普通だったら、クローザーとして復調するまで、再調整させながらもう少し待つはずだ。
 
 その決断の過程には、吉井理人投手コーチの存在も大きくかかわっていただろう。吉井コーチは現役時代、先発としてもリリーフとしても活躍した名投手。増井に的確なアドバイスを送ったに違いない。
 
 今季の日本ハムは奇跡的な戦いぶりを見せてくれた。
 
 ソフトバンクの敗因についても、追い上げられるプレッシャーとか、噂として聞こえてくるベンチ内の不和とか、いくつか挙げられるが、いずれも些末なことだ。
 
 今季のソフトバンクは、普通に優勝してもおかしくない成績を残した。ただ、日本ハムの戦いぶりがすごすぎただけなのだ。

小宮山悟(こみやま・さとる)
 
 1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

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