落合博満が語るウインターリーグ派遣の意図。若手のオフは「休養よりもさらに技術を高めておくことが必要」【横尾弘一の野球のミカタ】
落合博満監督時代から、シーズン終了後に中日の選手をドミニカのウインター・リーグに派遣するようになった。今年は、ルーキーながらフル回転した又吉克樹が参加。その意図はどこにあるのだろうか?
2014/12/27
今やドミニカ武者修行は、一軍定着への登竜門
ルーキーながらチーム最多の67試合に登板し、9勝1敗、防御率2.21と、リリーバーとして目立つ実績を残した又吉克樹(中日)が、シーズンを終えた10月17日からドミニカ共和国のウインター・リーグに参加した。
11月30日まで17試合に登板。防御率1.69の好成績を収めて帰国すると、「内容の濃い1カ月だった。いい経験をさせてもらって感謝している」と充実した表情を見せた。
中日の〝ドミニカ武者修行〟は、落合博満GMが監督を務めていた2006年から4年にわたって実施された。この取り組みの背景には、落合自身のこんな思いが反映されている。
「私はロッテに入団してから2年間、一軍とファームを行ったり来たりしているレベルの選手だった。それで、2年目のシーズンを終える頃に、『このままではクビになる。何かを変えなくちゃいけない』と思い、2つのことに挑戦しようとした。
ひとつはスイッチヒッターへの転向で、もうひとつは中南米のウインター・リーグで武者修行すること。
成長途上にある選手のシーズンオフは、休養よりもさらに技術を高めておくことが必要。翌年に結果を残さなければ、野球そのものができなくなってしまうかもしれないんだから。ならばオフの間も技術を伸ばせるよう、真剣勝負の場に身を置くことが重要だと考えた。それで球団フロントにお願いをしたけれど、当時はオフに海外リーグへ派遣していいのかどうかも決まっていなかったし、現地の状況もわからないということで断られてしまった。幸い、翌年に首位打者を獲得して、その必要はなくなってしまったけれどね……」
そんな落合の思いを実現に結びつけたのが、森繁和コーチだった。