「最強」打撃陣と「最弱」投手陣──極端なアンバランスが招いた2年連続最下位【追っかけライターがつける、東京ヤクルトスワローズ2014通信簿】
各球団の今シーズンの通信簿をつける企画。最終回は、2年連続セリーグ最下位となった東京ヤクルトスワローズ。シーズンを通してチームの動向を追ったライターに今季のチームを総括してもらった。
2014/12/31
投手起用、継投に残った疑問の数々
【ベンチワーク2点】
2軍コーチ、2軍監督を計12年、1軍コーチを実質2年務め、代行時代も含め監督5年目の小川淳司監督は、さすがに選手をよく掌握していた。序盤、なかなか結果が出なかった雄平に「結果を気にせず、思い切り自分のスイングをしたほういい」と声をかけ、終盤は調子の落ちてきた山田にカウント3-0からでも積極的に打つよう促すなどして、2人の持ち味を引き出したのは象徴的な例だ。
ただし、投手の起用や継投に関しては疑問の残る点も多々あり、外から見ている限りでは、監督と投手コーチの風通しの悪さのようなものも感じ取れた。高津臣吾投手コーチは、今年はNPBの指導者としては1年生だったが、その経験を来季にどう生かしていくのか。また、選手として長い間「同じ釜のメシを食った」仲で、年齢も近い真中満新監督とどうコミュニケーションを取っていくのかにも注目したい。
「補強ゼロ」が選手のモチベーションに与えた影響
【総合1点】
苦渋の思いだが、最下位という結果を踏まえると、総合評価はこうせざるをえない。詳しいことは書けないが、実は今シーズンが開幕してまだ間もない時期、ある主力選手から〝本音〟を聞かされて「今年も最下位かもしれない」と思ってしまったことがあった。
誤解のないように書いておくが、選手たちは試合では必死にプレーしていたし、手を抜いていたわけでもない。ただ、最下位に終わった2013年から戦力的な上積みがほとんどないまま今シーズンを迎えたことが、選手たちのモチベーションに与えた影響は、けっして小さくなかったと思う。
だが、来シーズンは違う。ウィークポイントを埋めるべく、このオフにはFAで成瀬善久と大引啓次を獲得するなど、積極的な補強に成功した。2年連続最下位でありながら、結果を残した選手には、契約更改でしっかりとそれにふさわしい評価もした。
だから当然、来年は選手たちのモチベーションも全く異なるはずだし、言い訳もできないはずだ。2014年の「通信簿」は厳しい評価になったが、来年は真中新監督のもと、胸を張って5点満点をつけられるようなシーズンになることを切に願う。