気になるカープの試合間隔の空き。”勢いが大事”CS制度の課題【小宮山悟の眼】
2016/10/08
DeNAが台風の眼になる可能性も
ファーストステージを勝ち抜いたチームの勢いは、我々の想像の遥か上をいく。しかも2位ではなく、3位のチームならなおさらだ。失うものが何もない立場で、勢いのある相手ほど厄介なものはない。
試合のブランクという点で、今年は特に広島の戦い方を心配している。
この場で何度も触れてきたが、今季の広島の勢いある戦いぶりは素晴らしかった。それは逆転勝ちの多さが物語っている。ここぞというチャンスを確実にものにした結果だろう。
あれだけ逆転勝ちが多ければ、たとえビハインドの展開でも、相手が「いつか逆転されるのでは!?」と勝手に自滅するケースも増える。自分たちも「最後には勝てる」と、落ち着いてプレーできる。そういう試合を繰り返して一気にセリーグの頂点に駆け上った。25年ぶりの優勝に達成感でいっぱいだろう。
そういう勢いのある戦いをして、やり切った感のあるチーム状態を、再び臨戦態勢まで盛り上げるのはかなり大変な作業だ。
宮崎のフェニックスリーグなどで試合勘を失わないような工夫もするのだろうが、相手のレベルを考えれば、紅白戦でもしたほうが有効かもしれない。
広島がファーストステージを勝ち抜いてきたチームの勢いをどう受け止めるのか。両チームの勢いが互角になるのに、3試合も4試合もかかるようでは、広島がファイナルステージを勝ち切るのは難しくなるだろう。
レギュラーシーズン終盤で一番勢いのあったDeNAが、日本シリーズに進む可能性だって否定できない。
すべては、広島の戦い方にかかっている。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。