二刀流、160キロ超え……4年という月日を積み上げて、球界の常識を覆した大谷翔平
12日よりクライマックスシリーズファイナルステージが始まる。混パを制した北海道日本ハムファイターズは、やはり大谷翔平がカギを握る。
2016/10/11
高校時代の藤浪と大谷の違いは”完成度”
鳥肌が立った。
優勝を決めた9月28日の西武戦の試合後に語った大谷翔平の言葉に、この4年間、いや高校時代からの成長を感じずにはいられなかった。
「きょうは僅差の試合だったし、フォークはいらないと思ってほとんど使いませんでした。特に追い込んでからはストレートとスライダーだけでいいかなと。点差が1点でしたしね。フォークのほうが失投になりやすくて危ないので」
2種類の球種だけで抑えられる。
その言葉尻だけを捉えれば、何とも大胆なやつである。ややもすると“ビッグマウス”のような印象を受けるかもしれないが、それが言いたいのではない。大谷はたどりついたのだ。大きな山を乗り越えたその瞬間に立ち会えたことに感動を覚えたのである。
思い出すのは5年前に花巻で聞いた大谷の言葉だ。
ドラフトを控えたちょうど今頃、同じく注目されていた藤浪晋太郎(阪神)と大谷をインタビューする企画で取材したものだが、その時に大谷がしきりに語っていたのが「完成度」という言葉だった。
それは150キロのストレートを持ち、スライダー、カットボール、フォークをコーナーにコントロール良く投げて、春夏連覇を果たした藤浪との自身の違いを挙げてそういう言葉が出てきたのだ。
大谷の言葉を反芻する。
「(藤浪君は)高校生ですけど完成されていますよね。春・夏連覇という結果出たこともそうですけど、投球自体が安定しています。ストレートと変化球とのコンビネーションがいい。打者として対戦したときも、スライダーとカットボールの印象が残っています。完成度が高いピッチャーだったなぁと」
一方、当時の大谷には、欠けている部分があった。
今になって思えば、それは成長過程の一部分にすぎないのだが、大谷が羽ばたいていくためには乗り越えていかなければならい高い壁だったのだ。つまり、それがスライダーだった。