【セパ・CSファイナル展望】王者優位動かず、DeNAとソフトバンクは打線奮起が必至
12日よりいよいよクライマックスシリーズファイナルステージが開幕する。セ・パともに地の利を活かせて、かつ1勝のアドバンテージを得ている王者が優位なのは変わらない。
2016/10/12
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カープ、投打ともに戦力充実
<セリーグ>1位・広島(13勝)-3位・DeNA(12勝) マツダスタジアム
セリーグCSファイナルステージ初の組み合わせだ。しかも、舞台がマツダスタジアムというのも初めてで、独特な空気に包まれるに違いない。ペナントレースでの対戦成績は広島の13勝12敗、マツダスタジアムでも7勝5敗とリードしている。広島優位は動かない。
広島の初戦先発はクリス・ジョンソンと予想する。リーグの開幕戦、交流戦、リーグ再開と節目の試合で先発しているだけに、ここも揺るがないはずだ。最多勝のタイトルは野村祐輔に譲る形になったが、昨季に引き続いて好成績を残し、安定感はずば抜けている。横浜の対戦成績は、4試合2勝2敗の五分。勝敗の責任を取るピッチングを見せている。ただ、2敗はシーズン序盤に喫したもので、抑えているイメージのほうが強いかもしれない。
2戦目は野村祐輔、3戦目は黒田博樹と予想する。ともに、ゲームメイクに長けているが、危惧されるのがDeNA戦の対戦成績が芳しくないことだ。野村は3戦1敗のみだが、防御率は7点台。黒田も5戦1勝2敗防御率3.60と苦戦している。ジョンソンで1勝、2、3戦目で一つくらいの気持ちが良いのかもしれない。4戦目以降はヘーゲンズ、岡田明丈あたりになるか。クローザーの中﨑翔太がシーズン終盤に故障した点が危惧されるが、休養十分の中継ぎ陣はクライマックスシリーズのファーストステージを戦っているDeNAよりやや優位か。
打線は実戦から離れているとはいえ、そう心配しなくていい。「負けられない」プレッシャーも感じる必要はない。同級生3人のコンビ、田中広輔、菊池涼介、丸佳浩の1、2、3番トリオは互いを意識しながら出塁してくれることだろう。彼らをどう生かすか。ベテランの新井貴浩や松山竜平に期待がかかるが、若い鈴木誠也がどんなパフォーマンスを見せるか楽しみだ。生粋の負けず嫌いはこういう舞台で羽ばたきそうな予感がするからだ。DeNAはエース級を序盤は出せないため、捕手の負担も大きく、足を絡めていければ、ルーキーの戸柱を混乱に陥れることもできる。
1、2戦は打線が援護を。梶谷が出場できるかもポイントに
DeNAはファーストステージで巨人に競り勝ち、初のファイナルに挑む。ペナントでは広島に19.5ゲームも離されてしまった。ここは広島と互角の力があることを意地でも見せてもらいたい。創設5年とチーム自体が若い彼らにとって、一つ一つのプレーが糧になるはずだ。
初戦の先発はギジェルモ・モスコーソか。5勝7敗と働けなかった投手をここで起用するのはかなりのリスクが伴うが、外国人監督らしいチョイスだ。4月20日に広島打線を7回0封したピッチングを再現できるか。2戦目は三嶋一輝か。三嶋は今季の広島戦で1敗を喫しているが、9月18日の試合では7回自責点1の好投。悪いイメージではない。3戦目からファーストステージの投手陣がそのまま中5日で登板する可能性があるが、久保康友の状態が気になるところだ。クイックの速い久保康が足攻封じに出ることもあり得る。もっとも、3戦目までの結果次第だろう。
打線は、主砲・筒香嘉智がマツダスタジアムで好相性なのが強みだ。倉本寿彦も4割強の打率を残している。また巨人戦で死球退場した梶谷隆幸の出場が可能なら、筒香と二人で11本塁打(同球場以外も含めると16本塁打)、頼もしい数字だ。ただ先述したように、梶谷が欠場ならかなり苦しい。打順を変更しなければいけなくなったとき、どういう選択をするのか。2番エリアン・エレラとするのか。また、広島の救援陣をほとんど打てていないのも気がかり。先発投手陣を打ったとして、エース級の先発を送り出せないDeNAは、ある程度、打ち合いの展開に持ち込まなければいけない。そうなると、相手救援陣を打つことは大きなポイントとなる。ファイナルステージを突破するためには、総力戦で上回れるかどうか。立場はかなり苦しいが、何とかくらいつきたい。
思えば、開幕試合で当たったのが、この両者で場所もマツダスタジアムだった。開幕を思い出しながら、両チームの戦いを楽しみたい。