田中・佐々木・柳を引き当てた3球団に加えて、DeNAと楽天が効果的な指名【2016年ドラフト・大学生総括】
「大豊作」と言われた2016年のドラフト。今回は大学生の指名で効果的な指名をしたとされる球団と新人王候補を大学野球ライターの高木遊氏がピックアップする。
2016/10/23
高木遊
中日の起爆剤となれる大学生カルテット
田中正義投手(創価大)と佐々木千隼投手(桜美林大)のドラフトの目玉をクジで引き当てたソフトバンクとロッテは言うまでもなく、大成功のドラフトと言える。
特に佐々木は故障の不安もなく、ストレートと変化球ともに高い精度であることを考えれば、パリーグの新人王候補筆頭と言える。
また、大山悠輔三塁手(白鴎大)と小野泰己投手(富士大)と一般的知名度の低い2人を上位指名してファンを驚かせた阪神は、バットや腕の「振れる(振る力の強い)選手を穫る」という金本知憲監督のハッキリとした好みが感じ取れた。
その他では、12球団で最も多い4人の大学生選手を指名した(育成ドラフト除く)中日、DeNA、楽天に注目したい
中日は、1位で柳裕也投手(明治大)、2位で京田陽太遊撃手(日本大)、4位で笠原祥太郎投手(新潟医療福祉大)、6位で丸山泰資投手(東海大)を指名。
インタビューを通しての印象やグラウンドでの仕草など、彼ら4人で共通するのが、その「ひたむきさ」だ。これが最下位に沈んだチームの起爆剤になることを期待したい。
柳は明治大、そして侍ジャパン大学代表で投手として異例の主将を務めるほど人望が厚い。また、横浜高で小倉清一郎元コーチに鍛え上げられたフィールディングの良さも光る。2位の京田は侍ジャパン大学代表でレギュラーの遊撃手を務め、その安定した守備は「京田のところに飛べば、振り返らなくても大丈夫という安心感がある」(他球団スカウト)と言われるほど。全力疾走も決して怠ることはなく、外野への凡フライを放っても外野手が捕球する頃には既に二塁ベース付近まで到達しているほどだ。
4位の笠原は新津高時代に公式戦わずか2勝、6位の丸山は中学時代に4番手の投手で東邦高でも最後の夏にエースとなった遅咲きと言える選手。ともに不器用な面もあるが、苦境にめげず4年間力を伸ばしてきた。笠原は今春に3季連続全国4強の上武大から8者連続三振を含む16奪三振を記録し、丸山は昨春に首都大学リーグ史上2人目の完全試合を達成するなどの実績・実力も十分に兼ね備えている。