4年連続一本釣りに成功したオリックスのドラフト戦略。前編成部長が描いたストーリーは引き継がれるか【どら増田のオリ熱コラム #86】
プロ野球ドラフト会議が20日、グランドプリンスホテル新高輪で開催された。オリックスは支配下9選手、育成5選手の計14選手を指名。1位では社会人ナンバー1ピッチャー山岡泰輔の単独指名に成功するなど、福良淳一監督も「満点」と評価した今回のドラフトを指揮した加藤康幸前編成部長や、瀬戸山隆三前球団本部長、福良淳一監督の言葉とともに検証したい。
2016/10/29
社会人NO.1投手の一本釣りに成功した背景
「最終的には3月から投げられるのかというのが決め手になった」
全球団の1位指名が確定したあと、会見場に現れた福良監督は、「前日に山岡泰輔と田中正義の二人に絞った」ことを明らかにした上で、最終的に山岡を選んだ理由をそう語り、「2位も投手です!まだ即戦力の選手が残ってますから」と笑顔で会場に戻っていった。
2013年は吉田一将、2014年は山﨑福也、昨年は吉田正尚をそれぞれ単独指名に成功しているが、今年は早い段階から瀬戸山隆三前球団本部長が「抽選覚悟でスターになれる選手を獲りにいく」と明言し、決死の覚悟で臨んだドラフトだった。福良監督も「私がクジを引きます」と語っていたほどだ。
また来年から二軍施設が神戸から大阪の舞洲に移転することもあり、ドラフト会議前には地元、履正社高校の寺島成輝を指名すると予想するメディアも少なくなかった。
しかし、ドラフトの陣頭指揮にあたってきた加藤前編成部長はそうした論調に反論する。
「今年のチーム状況を見て考えたときに、高校生の1位指名というのはなかったですね」
今季のオリックスは先発不足に悩まされてきた。先発防御率4.29はリーグ最下位。エース金子千尋は制球難に悩まされ7勝止まり。ディクソンも9勝から足踏みし、唯一、二桁勝利をあげた西勇輝も10勝12敗と負けが先行した。今年の戦況をみたら、即戦力ピッチャーを優先して1位指名するのは必然の流れといえるだろう。
結果的に今年も1位は山岡の単独指名になったのだが、福良監督は「競合しても山岡で行くという気持ちだった」とコメントしている。これについて加藤氏は「夏に福良監督に山岡のビデオを見てもらったときに評価されてたんですよ」というエピソードを明かしてくれた。
加藤氏は続ける。
「1年間先発ローテーションを守れるピッチャーという点で、山岡は高卒“3年目”で社会人のエースになったという信頼感がある。強気ある攻めのピッチングで、打者の心理も読めるし、どんなシチュエーションになっても対応力が高いピッチャーなので、1年間ローテーションを守ってくれるでしょう」
また気の早い話だが、今季、85試合に出場した捕手の若月健矢は、かつて山岡とバッテリーを組んだことがある。 「彼とは同い年で、ジャパンで2回一緒になっていますし、バッテリーを組むのが楽しみですね」と語っているほどだ。 同世代バッテリーが来季のオリックスに新たな風を吹き込むかもしれない。