2015年も〝第二の山口鉄也〟の出現を期待。飯田、土田、萬谷……育成枠から這い上がる選手たち
2005年からスタートし、今季11年目を迎える育成選手制度。薄給など厳しい条件を克服してスターとなった選手がいる一方で、近年では窮地にあえぐベテランたちの〝救いの手〟ともなっている。
2015/01/03
ケガや戦力外の選手にとっては救いの手
また、育成枠はケガによる長期離脱を余儀なくされた選手や、自由契約などの憂き目にあった選手の〝救済枠〟の意味合いも大きい。
巨人でセカンドのレギュラーを務めた経験をもつ脇谷亮太は、2011年のシーズン終了後にヒジの負傷などもあって自由契約の身となる。直後に育成選手としての契約を結び、年間を通してケガのリハビリに励み、翌年のシーズンオフに支配下選手に復帰した。
片岡治大の人的補償で西武に移籍した昨季は、96試合に出場(打率.263、2本塁打、20打点)。7月には自身2度目となるサヨナラ安打を放つなど、復帰後、もっとも活躍したシーズンとなった。
2012年のシーズンオフに、腰のヘルニアの影響もあって支配下登録を外された阪神の狩野恵輔は、翌年7月に育成選手から復帰。昨季はソフトバンクとの日本シリーズ第2戦で、武田翔太からヒットを放つなど存在感を示した。
さらには、球団から戦力外通告を受けた選手の救済枠となる側面もある。別チームへと移籍して育成枠で契約、その後に支配下登録を勝ち取るケースだ。2014年でいえば、オリックスの榊原諒や、ロッテの金森敬之の名前があげられるだろう。
日本ハムのセットアッパーとして活躍していた榊原は、一昨年オフに同球団から戦力外通告を受けた。直後にオリックスと育成契約を結び、7月に支配下登録。2014年は中継ぎで11試合に登板し、防御率1.80という成績を残した。
ロッテの金森も2012年まで日本ハムに所属。戦力外通告を受けたあと、1年間を四国アイランドリーグplusで過ごし、一昨年オフにロッテと育成契約を結んだ。6月には支配下登録され、昨季は10試合に中継ぎとしてマウンドに立った。
伸びしろのある若手選手には、スターへの階段の第一歩となる育成契約だが、さまざまな事情を抱えたベテランにとっては野球の神様が差し伸べてくれる〝救いの手〟となっている。
厳しい条件に耐えて結果を残せば、再び高いステージで野球ができるという点において、若手もベテランも変わりはないのだ。
育成から支配下登録されて、チームの貴重な戦力へ。2015年、各球団からどんな選手が突如台頭するか、目が離せない。