「守りの野球」が中途半端に終わった中日。森新監督には正捕手の固定を【小田幸平の眼】
2016年シーズンは最下位に終わった中日ドラゴンズ。シーズン途中で成績不振を理由に谷繁元信監督が電撃解任、来季の監督人事が注目されたが、森繁和監督代行の監督就任が発表されている。はたして、森新監督はどのような野球を目指すのか? かつて森監督の薫陶を受けた評論家でドラゴンズOBの小田幸平氏に聞いた。
2016/10/24
中途半端に終わった2016年
――9月29日、中日ドラゴンズの新監督に森繁和監督代行が就任することが発表されました。小田さんは森新監督の就任をどのようにご覧になりましたか?
小田 「意外だ」と言う人が多かったようですが、僕はそうは思いませんでした。落合監督時代から、森さんがピッチャーの交代なども全部決めていましたし、そのまま監督になっても何の問題もないと思います。
――監督の仕事の一部は既に経験済というわけですね。
小田 「バッティングや守備のことはわからない」とハッキリ言ってましたからね。「信頼できる担当コーチを置いて、あとは任せる」ということを話されていたので上手く回っていくと思いますよ。
――小田さんは森新監督がどのような野球を目指すと思いますか?
小田 やっぱり「守りの野球」だと思います。「守りの野球」を貫くなら、森さんは適任なんじゃないでしょうか。ここでも何回かお話していることですが、今年のドラゴンズも「守りの野球」を掲げつつ中途半端に終わった印象があります。その結果が最下位なんです。
――攻撃型のオーダーも組んでいましたが、結果的に失点して試合を落とすケースが少なくありませんでした。
小田 でも、森さんなら徹底的にピッチャーを中心とした「守りの野球」を構築してくれるんじゃないかと期待しています。「点を取られた方の負け」という意識が浸透していけば、締まったゲームをしてくれるのではないでしょうか。
――すでに秋季キャンプでは毎日1時間の投内連携の練習を課しています。
小田 これも守りへの意識の高まりの現れでしょう。投手に関する守備のミスを徹底的になくしていく、ということですね。
――バッテリーに関してはいかがですか? 杉山(翔大)捕手、桂(依央利)捕手の成長もありましたが、依然として正捕手不在という大きな課題を抱えています。
小田 ここは非常に難しいところですね。ただ、キャッチャーの育成の段階はもう終わったと思います。あとは杉山、桂、木下(拓哉)の誰かを起用していくのでもいいし、補強してもいい。以前もここで言いましたが、キャッチャーが決まらないとチームは強くなりません。キャッチャーをどうするかの「見極め」が一番大切になると思います。ドラゴンズはもう勝つチームを作らなければいけません。そのためにはキャッチャーが大事になるんです。
――「見極め」とは、「この選手を正捕手にする」という決定と考えればいいですか?
小田 その通り。たとえば、横浜DeNAベイスターズの戸柱がそうですよね。新人捕手ですが、1年間にわたって正捕手として経験を積み、ラミレス監督から褒められることで伸びていきました。DeNAが3位になったのも、クライマックスシリーズのファーストステージを突破したのも、戸柱の力がなければ難しかったでしょう。ドラゴンズもそういうキャッチャーが必要だということです。ここを間違えると、ドラゴンズは弱いままでしょう。
――森新監督にとって、キャッチャーの見極めは大きな仕事なんですね。
小田 そうですね。森新監督はこの3年間、谷繁監督の下でヘッドコーチを務めていましたから、現有戦力のことはよく把握しているという強みがあります。そこは大丈夫だと思いますよ!