なぜ、DeNAの池田純社長はたった5年でチームを去るのか。「僕は執着が嫌い。面白いものを創造できなくなる」
DeNAの若き経営者・池田純氏が2016年10月16日付で球団社長を退任した。横浜DeNAベイスターズを黒字に変えるなど、たくさんの改革を実行してきたが、なぜこのタイミングだったのだろうか。
2016/10/17
番長の引退プロモーションが、最後のミッション
振り返れば今年3月の開幕前、池田氏は、ミーティングでチームの選手たちに向け次のように語っている。
「オレは今年に賭けているから」
おそらくこの言葉の意味に気づく選手は誰もいなかっただろう。
最後は簡単な囲み取材でさらりと別れを告げた池田氏。別れと言えば今シーズンは三浦大輔の存在を忘れてはいけない。奇しくも二人の功労者が、球団を去ることになった。
じつは三浦の引退試合やそれに伴うプロモーションは、絶対に成し遂げなければいけないミッションだった。というのも、以前から功労者の送り出し方に課題があるとファンの間ではいわれていた。その宿題を残して球団を去るわけにはいけない。
池田氏は、チームの象徴である“ハマの番長”をファンと一緒に送り出そうと、横浜の街全体を巻き込んだ大々的なプロモーションを打ち、これ以上ない花道を演出することができた。
じつは三浦が引退する、しない関係なしに数年前からプロモーションの準備はしており、最後にメッセージを送ってくれた矢沢永吉に関しても以前からアプローチをし、話を進めていたという。
かつて閑古鳥が鳴いていた横浜スタジアムは、今や先進的なボールパーク化し、誰もが楽しめる空間になった。
三浦大輔は言う。
「横浜って良いチームになったでしょ? 僕は引退しても自慢しますよ」
選手にとってもファンにとっても誇りを持てるチームになった――史上最年少の初代社長の築きあげたレガシーは、今後も忘れられることなく引き継がれていくだろう。