大ベテランに、若武者……タイトル以外も注目したい2014年〝裏記録〟
今日は大晦日。2014年も残すところわずかとなった。そこで最後に26、2014、888…と、2014年シーズン中に生まれた数字から、今季の出来事を探ってみた。これらの数字を見て、すぐに「あの記録だ」とわかる方は、なかなかの野球通だ。
2014/12/31
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ベテラン健在に、ニューヒーロー誕生の予感
888 岩瀬、今季も救援登板のみで記録更新
つづいては来るべき新しい年を前に、縁起のよい末広がりの八が並んだ記録。
今年の流行語のひとつになった「レジェンド」。谷繁兼任監督、山本昌とレジェンド揃いの中日にあって、抑え投手の生ける伝説、岩瀬仁紀は今シーズン、34試合に登板。通算登板数は順位を2つあげ、史上3位の889となった。2000年に1試合先発登板があるので、救援登板数は888、もちろん日本記録継続中だ。
今シーズン、岩瀬は7月26日の巨人戦で通算400セーブを達成した。NPBでは前人未到の記録となる。
ただ後半戦の体調不良もあり入団以来続いていた50試合登板は15年で、05年から続いてた30セーブは9年で途切れてしまった。
不惑を迎える来シーズン、正念場になることは間違いないが、まずは900試合登板、再来年以降の登板数、日本記録更新を視野に入れたいところだ。
44&4 斉藤隆、史上最年長セーブ
つづいても揃いの数字で。
今シーズン話題になった「最年長記録」といえば、中日の山本昌が64年ぶりに更新した勝利記録(49歳0カ月)になるだろう。
今シーズンは勝利だけでなくセーブの最年長記録も更新されている。7月2日にセーブをあげた楽天の斉藤隆は、この時点で44歳4カ月、小宮山悟の持っていた44歳0カ月の記録を塗り替えた。同月21日の西武戦では救援登板で勝利をあげ、こちらは右腕の最年長勝利記録。蛇足だが斉藤は背番号は44で、見事な4並びとなった。
3 ルーキー森3試合連続本塁打
通算記録になるとどうしてもベテランの名があがってくるので、ここは10代の若者の記録を取り上げたい。
高卒ルーキー、特に打者はプロレベルの実力があっても投手の力が相対的にアップする分、活躍するのは難しくなる。清原和博の31本塁打は伝説で、松井秀喜の11本は大活躍、1本でもホームランを打てば上々の出来といっていい。
そんななか西武のルーキー、森友哉は今シーズン6本の本塁打を放った。しかも8月14日の日本ハムでのプロ1号から3試合連続本塁打をマーク。初本塁打から3試合連続の一発は68年の中日、江島巧以来、46年ぶり3人目の記録となった。1号が流し、2号が引っ張り、3号はバックスクリーンと左右中にきれいに打ち分け「持っている」ところを見せた。
注目したいのは森の本塁打率だ。本数こそ6本だが、7月末の一軍昇格で出場試合数、打数が少ないため、本塁打1本に要する打数は、松井より少なく、清原に迫る。まずはレギュラー獲りからだが、果たして来シーズンは何本のアーチをかけるのか要注目だ。
10 ベーブルース以来、大谷10勝&10本塁打
今シーズンも様々な記録が生まれたが、なかでもアンタッチャブルだったのは二刀流、大谷翔平の10勝&10本塁打だろう。
日本では史上初めて、MLBでも1918年のベーブ・ルース以来、96年ぶりとなる。近代野球のルールが確立されて間もないころならともかく、投手、野手の分業が当然である、現代野球の概念を覆すとんどもない記録の誕生となった。
大谷は投手として24試合に登板し、11勝4敗、防御率は規定投球回に達し2.61(リーグ3位)、奪三振179(リーグ3位)、打者では212打数58安打、打率.274、11本塁打。ベーブ・ルースは20試合に登板し13勝7敗、防御率2.22、奪三振40、317打数95安打、打率.300、11本塁打(リーグ最多)なので、比較する数字ではないがベーブ・ルースの方が若干良かった。
ベーブ・ルースは10勝&10本塁打を記録して以降、打者として出場する機会が増え、その後のシーズン、通算の本塁打記録につながっている。ちなみに翌1919年はMLB記録を更新する、29本塁打で連続本塁打王になっているが、投手としては17試合に登板し9勝5敗で10勝&10本塁打は逃している。はたして大谷は前人未到、2年連続10勝&10本塁打を記録できるか?