巨人、吉川尚輝が内野に加わる効果。1位指名した3つの理由【死亡遊戯コラム】
20日に行われたドラフト会議で読売ジャイアンツはドラフト1位指名において、田中正義と佐々木千隼を抽選で外すと、3度目の入札で大学No.1野手との評価も高い吉川尚輝を指名した。
2016/10/22
高木遊
同世代の若手に火をつける
そして、なによりドラフト1位で21歳の野手を指名したことにより、チームの若手野手陣は危機感を抱くはずだ。
例えば、ここ数年期待されながら結果を残せていない辻東倫は吉川と同学年で同じ左打ち内野手。
今季1軍で27試合に出場したルーキーの山本や、二塁転向に挑戦中の重信慎之介らは吉川の1学年上。
堅い内野守備がセールスポイントの同姓の吉川大幾も2学年上と同世代。
イースタンで打点王を獲得しながら1軍出場3試合に終わった14年ドラ1スラッガー岡本和真にしても、タイプは違えど来年の春季キャンプでは周囲の注目が新たなドラ1吉川に移ったと痛感させられることだろう。
もちろん立岡宗一郎や橋本到といった90年組の俊足巧打タイプの左打ち外野手にとっても、吉川は今後しばらく「1番打者を争うライバル」である。
巨人若手選手にインタビューすると、「テレビで見ていた由伸さんや阿部さんと同じグラウンドに立っていることが信じられない」とか「テレビの中の1軍が遠く感じることがある」という言葉をよく耳にする。
ある意味、長年固定化されたメンバーの中、突然ドラ1ルーキー野手が活躍したらインパクトも大きい。
今季故障に苦しんだ、二塁を争うクルーズや片岡もうかうかしていられないだろう。
サラリーマンでもプロ野球選手でも、偉大な先輩たちに負けたら諦めがつく。
だが、年下の後輩に負けるのは屈辱以外のなにものでもない。
ベテラン陣を刺激し、伸び悩む同世代の若手たちの危機感に火をつける。
いわば、吉川尚輝は巨人に投入される「劇薬」である。