「故郷に帰るのは自然な情感」と米記者も理解。カープ復帰の黒田博樹、先発能力の高さを示したMLBでの7年間【豊浦彰太郎の MLB on the Web】
米記者が、黒田の帰国判断を「故郷に戻りたいのはごく自然なこと」と冷静に捉えている。また、彼は比較的見過ごされがちな安定性や耐久性に黒田の真骨頂を見出し、客観的データで評価している。
2015/01/01
黒田の〝安定感〟と〝耐久性〟は評価されるべき
そして、記者は黒田の業績を淡々と数字を用い紹介している。そこには主観は入っていない。
Kuroda was never the best pitcher in the league; he was never the best pitcher on his team. But he wasn’t supposed to be. What he was, was consistent. In an era where pitchers are more volatile than ever, Kuroda was anything but. Since coming to the USA in 2008, he made at least 31 starts in six of his seven MLB seasons.
Over the last five seasons, Kuroda averaged 32 starts per year. Only 11 other pitchers can make that claim.
黒田はリーグベストの投手ではなかったし、チームにとってNo.1の投手であったこともない。そういう役割を期待されたこともない。彼の真髄は安定感にあった。投手が受難の時代にあって、それ以外の何物でもない。2008年に渡米して以降の7年間で、6度も先発を31試合以上をこなしている。過去5年間は平均すると先発32試合だったが、他には11人しかいない。
安定性と並ぶ黒田の美点は、その優れた耐久性にあった。
Kuroda threw more than 1,000 innings after his age-35 season, something to which only only 46 pitchers during the live-ball era (1940-Present) can lay claim.
黒田は35歳以降に1000イニング以上投げているが、1940年以降の飛ぶボールの時代において、これを成し遂げたのは46人しかいない。
安定性や耐久性は、投手の実力を評価する際に見過ごされがちだが、とても重要な要素だ。黒田がそれらにおいて優れた投手であったということは、故障が少ないということであり、それは制球力に負うところも大きい。
記者は、黒田の四球率(与四球数÷対戦打席数)が6パーセントを上回ったことはない、と紹介している。ちなみに、メジャー平均は8パーセント強だ。黒田の制球力の高さを示す数値と言えよう。最後に「7年間、黒田博樹はMLBで黙々と仕事をなした。強烈な個性を持っていたわけではないし、スーパースターであったわけでもない。しかし、だからと言って黒田博樹は高く評価されるに値しないということではない」と、記事をこう締めくくっている。
2015年、広島に復帰する黒田にとって、中4日から中6日とローテーションは緩くなる。メジャーで証明した安定感と耐久性は、間違いなくプロ野球でも最大限に発揮されることだろう。
出典 : “Appreciating Hiroki Kuroda” @ FanGraphs by August Fagerstrom in Dec. 29, 2014