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元阪神・新人王が初代監督、BCリーグ参戦の滋賀ユナイテッド「NPBに選手を送り込むだけでなく、野球を諦める場に」

2017年シーズンから、野球チームとサッカーチームを同時に運営するという稀有な取り組みを行うクラブがある。鈴木信哉氏が代表取締役兼球団代表を務める「滋賀ユナイテッド」だ。同クラブは、独立リーグのBCリーグへ来春からの参戦が決まっており、来年中にサッカーのクラブチームも県リーグからその一歩を踏み出す。野球とサッカーの同時チーム設立。この試みは日本初で、会見の様子はNHKでも放映された。

2016/10/27

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野球に何か恩返しをしたい

 滋賀ユナイテッドの初代監督には、阪神タイガース、東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーし、2007年に8勝を挙げ新人王に輝いた上園啓史氏を迎えることが発表されている。まもなくクラブの始動を迎えた今、鈴木氏は何を思うのか。その想いは、地域活性から選手のセカンドキャリア構築にまで及んだ。
 
――チーム誕生のきっかけを教えてください。
鈴木信哉(以下:鈴木):「私の場合、佐川印刷の社会人野球部で11年間選手としてプレーしてきました。引退後の2年間はマネージャーも務めました。それだけ長く野球に携わってきたこともあり、自分をここまで育ててくれた野球に何か恩返しがしたいという気持ちはずっと持っていました。昨年の10月に前職を辞めることになり、このタイミングしかないと考えた結果、去年12月に会社を立ち上げました」
 
――なぜ野球とサッカーのクラブを同時並行で設立という考えに至ったのでしょうか?
鈴木:「我々は総合型地域スポーツクラブを目指しています。『ひとつになりましょう』という気持ちを込めてユナイテッドという名をつけさせていただきました。野球は先述の通りです。サッカーに関しては、滋賀県民や出身者の県外就職率の低さを見た時に『何かできることはないか?』と考えました。そこでスポーツクラブとして、引退後も選手の雇用を作る場を少しでも増やしたいという考えが根底にありました」
 
――どのようなチーム作りをしていくのでしょうか?
鈴木:「自分自身も野球に育てられた部分は多いですし、社会人としてという部分もそうですが、野球は本当に良い教育の場になると思います。なので、滋賀ユナイテッドでは野球の上手い下手だけではなく、礼儀作法や人間性といった部分も大事にしていきたいと思います」
 
――モデルにしているクラブはありますか? イメージではアルビレックス新潟が近く感じます。
鈴木:「その点に関しては、“存在しない”という言い方が正しいかと。近い事例でアルビレックス新潟さんなどがありますが、そこをモデルにしてしまうと2番煎じになってしまいます。そうじゃなくて自分たちの形を作り上げていきたいと思っています」
 
――野球クラブとして滋賀ユナイテッドの理念を教えてください。
鈴木:「まずはプロをNPBに選手を送り込むこともそうですが、同時に良い意味で、野球を諦める場でもあってほしいと考えています。もう1つ理想をいえば、NPBで活躍した滋賀出身の選手達に現役の最後に地元で活躍する姿を見せてほしいとも思います。たとえばの話として、東北楽天ゴールデンイーグルスの則本選手などが野球人生の最後に、滋賀で投げる。その姿を見ることができたら、滋賀県民達は胸打つものがあると思います」
 
――サッカークラブとしてはいかがでしょうか。
鈴木:「サッカークラブの運営で考えているのは、1つは滋賀からJリーグを目指すクラブでありたいということ。もう1つは、海外を目指す選手達を輩出し、その環境を整えるクラブでありたいということです。ユーロプラスさんと提携して、滋賀出身の選手達が世界で活躍するまでの練習場所の提供であったり、所々でサポートをしたい。サッカーの場合は、県リーグからスタートということもあり、プロ契約は難しいのですが、スポンサーさんや関連企業さんで働く場も提供していきたい。そのような機会を設けることで、選手達の引退後の選択肢は必ず増えると思いますから」
 
鈴木信哉新監督

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