元阪神・新人王が初代監督、BCリーグ参戦の滋賀ユナイテッド「NPBに選手を送り込むだけでなく、野球を諦める場に」
2017年シーズンから、野球チームとサッカーチームを同時に運営するという稀有な取り組みを行うクラブがある。鈴木信哉氏が代表取締役兼球団代表を務める「滋賀ユナイテッド」だ。同クラブは、独立リーグのBCリーグへ来春からの参戦が決まっており、来年中にサッカーのクラブチームも県リーグからその一歩を踏み出す。野球とサッカーの同時チーム設立。この試みは日本初で、会見の様子はNHKでも放映された。
2016/10/27
Getty Images
理想のクラブ像
――チームがまだ発足していない状態で、ここまでスポンサーが集まった理由はどこにあると思いますか?
鈴木:「それは想いだと思います。そして理念ですね。そこに尽きると思います。今現在で70社のスポンサーが集まっていますが、運営資金としてはまだまだ足りません。でもスポーツクラブとしてスポンサーだけで利益を求めてしまうと無理な部分はありますし、今すぐどうこうしたいわけではないです。そこは3年で確立していきたいと思います。それ以外にもスクール事業や色々の形でお金は生んでいきたい」
――滋賀県内のスポンサーが多いように感じます。
鈴木:「最初は滋賀県の企業が中心となっていたが、現在では京都府や岐阜県の企業もスポンサーとして増えてきていますし、その他の県の企業とも話を進めていく予定です。これまでプロの野球チームがなかった県や、多くの地域から注目されていると最近では感じています」
――収益面に関しての見通しを教えてください。
鈴木:「当面はスポンサー収入に頼るしかないというのが現実です。あとは微々たるものですが、グッズ収入などで細かい部分でも戦略を仕掛けていきたい」
――鈴木代表が考える滋賀ユナイテッドのクラブ像はありますか?
鈴木:「先ほども話したように、良い意味で『選手たちの諦める場所』になればと思います。我々のクラブにはNPBのドラフトに漏れた選手たちや、ラストチャンスを掴みたいという気持ちを持った選手たちがやってくると思います。ここで育ってNPBのドラフトにかかる選手もいれば、ここで野球を終える選手たちも出てくる。NPBのような待遇もないので、選手たちのご両親の了承も必要となってきます。ここで最後の挑戦をしてほしい」
――そうなってくると選手の環境面も考える必要が出てきますね。
鈴木:「衣住環境を整えてあげなければいけないというのはあります。野球に関しては、選手たちのプロ契約期間は3月~10月となりますが、それ以外の期間は仕事をしていいということになっています。県内選手中心ということもあり、できる限り実家から通える選手(親の応援を受けることができる)でチーム作りができればいいですが、県外出身者に関しても色々な部分をサポートしていきたいと思います」