プロ野球選手として、いちばん大事なのは「環境」!【元ロッテ・里崎智也が語るプロ野球選手論④】
読者のみなさま、新年あけましておめでとうございます。全国のマリーンズファンにお届けしてきたこのコラム。2015年の1発目は、当初の予定より大幅にボリュームアップしてお届けしてきた里崎智也氏の超ロングインタビューが、よもやの越年! きっと心は今でも千葉ロッテマリーンズとともにあるに違いない大天使の、よそでは読めない本音トークで、よい正月をお過ごしくだされ!!
2015/01/01
体現者としてファンサービスに物申す!
──つい先日には、〝球界の半沢直樹〟こと山室晋也・球団社長が「ファン感謝デー」の毎月開催といった拡充策を模索中といった報道もありましたが、〝あの頃〟を知るファンからすると、ファンサービスの面での物足りなさを感じる部分があるのも確かです。
里崎 昔がよくて、今がダメってわけでは全然ないですけど、ボビーの頃にはわりと頻繁にやってた試合前のサイン会みたいな、選手とファンとが接点をもてるイベントはもっとやって行かんと、やっぱりお客さんは来てくれない。ここ数年はチーム成績があんまりよろしくないっていうのもあるんでしょうけど、勝とうが負けようがそれぐらいのファンサービスは、もはや常識ですよってぐらいにはしていかなきゃな、とは思います。そのためなら、僕自身もいくらでも協力するつもりでいますしね。
──それは、頼もしいお言葉。ファンのひとりとしても、平均観客動員数が12球団ダントツでワーストという不名誉な数字には、忸怩たる想いはありますし。
里崎 元々いないところから増やしていくのは難しいですけど、いた人を連れ戻すことは、まだできる。イベントであれ何であれ、お客さんを呼ぶ力がちゃんとあるってことは、引退試合で僕が身をもって証明してみせたわけですからね(笑)。あの試合がもし2万人しか入りませんでしたってなら、根本的に何かを変えていかんとダメでしょうけど、現にあの日、あの場所には3万人もの人が来てくれた。だったら、あとはいかにマリーンズに興味を持ってもらって、球場に足を運んでもらうか。要は、やり方次第じゃないんかな、と。
──かつての川崎球場時代とは隔世の感があるぐらい、今や千葉ロッテという球団の知名度も上がりました。そこからすると、これもまたある意味、贅沢な悩みと言えるのかもしれませんね。
里崎 そうですよ。僕が入った頃なんて、今みたいにCSやネットで好きなときに好きなチームの試合が観られるなんて考えられませんでしたし、ロッテ戦なんてものは、スポーツニュースでさえ、エゲつないぐらいにカットされるのが当たり前の時代。まぁ、当の僕にしたって、いざ入団するってなるまでは、ファミコンの『ファミスタ』ぐらいでしか前知識がなかったから、どんな選手がいるかもほとんど知りませんでしたしね。それこそ、大先輩の袴田(英利)さんも、僕んなかでは「かはまだ」でしたから(笑)。
──(笑)。しかし、今季はクライマックスシリーズ出場権の行方はもちろん、ユニフォームを脱がれた里崎さんからも目が離せないですね。ファンに向けた次なる仕掛け、ぜひ期待しています!
里崎 誰のために野球をやっているのか。それを第一に考えて、みんなが同じ方向を向けるよう、僕も微力ながらお手伝いさせてもらおうと思ってます。個人的には、『ビックリマン』の〝終身名誉大使〟として、「里ガシ魔」の本気コスプレで何かイベントができないものかと、真剣に考えているところです(笑)。
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里崎智也(さとざき・ともや)
1976年5月20日生まれ。徳島県鳴門市。鳴門工、帝京大学を経て98年のドラフト会議で、千葉ロッテマリーンズから2位指名され、入団する。2003年に78試合ながら打率3割をマークし、レギュラー定着の足掛かりをつくる。2005年は橋本将との併用ながらも、日本一に貢献。特にプレーオフのソフトバンク戦で馬原投手(現オリックス)から日本シリーズ進出を決める値千金の決勝タイムリーや、2010年のクライマックスシリーズファーストステージの西武戦では故障明けのぶっつけ本番で初戦は9回の同点タイムリー、2戦目は9回に長田から起死回生の同点弾と、大舞台で無類の勝負強さを発揮した。2006年にはWBC日本代表として世界一に輝く。2000年代、千葉ロッテを支えた扇の要であり、〝歌って、踊って、打ちまくる〟エンターテイナーはファンから愛された。