DeNAのドラフトに変化。即戦力に加えて高校生を指名、意図が明確な編成に
2度の抽選を外した後にDeNAが指名したのは地元・神奈川大の濱口遥大だった。即戦力として、投手陣の層を厚くする一方、今年のドラフトは過去とは異なっていた。
2016/10/28
高木遊
今日、明日ではない数年後を見据えた指名も
今回、意外だったのは3位以下の指名である。今回はDeNA体制になって5回目のドラフト会議となるが、これまではチーム事情を鑑み、戦力立て直しのために1位から4位までは大学・社会人の即戦力を指名していた。
だが今回は、ここから高校生が続く。3位は高い守備力を武器とする内野手の松尾大河(秀岳館)、さらに4位にはしなやかな投球フォームが持ち味の京山将弥(近江)、5位は高校通算68本塁打を誇る細川成也(明秀日立)を指名した。
即戦力とはいかないかもしれないが、ここに来てDeNAにとって初となる素材型選手の大量指名。現在チームはAクラスとなり、以前よりも総力を確実にアップさせているが、いつまでも筒香嘉智らがチームにいるとは限らない。当り前の話だが、今日明日ではない数年後を見越した指名だと言える。
高田繁GMは、この高校生の指名について以下のように語る。
「即戦力となる1、2位の投手が獲れたということで、(手薄な)右の内野手が欲しかった。そこで松尾が残っているということで指名をしました。また右のパワーバッターも欲しいということで時間はかかってもいいから育成しようということで細川を指名しました」
そして、さらに下位指名となるが、高田GMいわく「まだ残っているとは思わなかった。あの順位で獲れたのは大きい」という面々が名を連ねた。
6位は鋭く曲がる立てスライダーが武器であり奪三振能力が高い右腕の尾仲祐哉(広島経大)、7位は走・攻・守三拍子揃った内野手の狩野行寿(平成国際大)、8位は高田GMが「まだ化ける可能性が高い」という最速153キロの直球を投げる右のサイドハンドの進藤拓也(JR東日本)、9位には長打力が魅力の左スラッガーであり高田GMが「一軍での代打も視野に入れている」という佐野恵太(明治大)が指名された。いずれも即戦力として期待できる選手たちである。
こう見ると当初の一番のテーマであった右の即戦力先発ピッチャーは獲れなかったものの、将来性も含め非常にバランス良く選手を獲得できたといっていいだろう。『リリーフ』『右打者』『内野手』というDeNAとしてまず補完しなければいけない部分が埋まり、意図が明確ないい編成ができたといっていいだろう。
ただ問題は、先にも述べたがエースで右腕の山口俊のFAの動向である。残留さえ決まれば、これ以上ないドラフトになるのだが……。