10年越しの恋人? 巨人3つの補強ポイントに合致した、吉川光夫と石川慎吾の獲得【死亡遊戯コラム】
2日、北海道日本ハムファイターズと読売ジャイアンツは、12年のMVP吉川と08年ドラフト1位の大田を中心とした2vs2のトレードが成立したと発表した。
2016/11/03
先発ローテーションの1人に
それは日本シリーズが終わってからわずか4日後、電撃的なトレード劇だった。
2日、日本ハムの吉川光夫投手(28)、石川慎吾外野手(23)と巨人の大田泰示外野手(26)、公文克彦投手(24)の2対2の交換トレードが両球団から発表された。
交換選手の今季成績と推定年俸は以下の通りだ。
吉川光夫 27試 7勝6敗3セーブ 防御率4.19(9,500万円)
石川慎吾 12試 打率.074 0本 1点 OPS.148(1,000万円)
↓↑
大田泰示 62試 打率.202 4本 13点 OPS.604 (2,100万円)
公文克彦 12試 0勝0敗 防御率3.86(850万円)
※年俸は推定
こうして見ると、12年パリーグMVP投手で昨季も11勝を挙げた通算48勝のサウスポー吉川の存在が際立っている。
06年高校生ドラフトでは堂上直倫や坂本勇人と並んで巨人1位候補として名前が挙がっていた男。いわば、巨人にとっては10年越しの恋人である。
今季2位に終わった由伸巨人の投手陣補強ポイントは2つあった。
まずは先発ローテの駒不足解消。ポストシーズンでエース菅野智之が体調不良で離脱すると、負けたら終わりのCS第3戦を全盛期が過ぎた34歳の内海哲也に託すしかなかった苦しい先発事情。
昨年活躍した高木勇人やポレダがほとんど戦力になれず、ドラ1ルーキー桜井俊貴も故障に苦しみ2軍生活が続いた。
球団は菅野、マイコラス、そして高卒3年目で2ケタ勝利を挙げたサウスポー田口麗斗に続く先発投手を補強しようと、先日のドラフト会議で即戦力候補の田中正義(創価大→ソフトバンク)や佐々木千隼(桜美林大→ロッテ)を1位指名したものの、立て続けに抽選で外し獲得ならず。
FA市場でDeNAの山口俊の獲得調査が報じられているが、その動向はまだ不確定。いわば実績のある先発補強は急務だった。
左の中継ぎ要員としての期待も
さらにもうひとつの課題は近年の巨人ブルペンの「極度の左腕不足」だ。
それが結果的に山口鉄也の登板過多に繋がり、今季の山口はプロ野球新記録の9年連続60試合登板を達成するも、1勝6敗、防御率4.88と絶不調。
追い打ちをかけるように、昨年までデビュー以来139戦無敗と存在感を見せていた中継ぎサウスポー高木京介も開幕直前に賭博事件関与で解雇。
若手投手を見渡しても、山口以外に今季1軍で20試合以上登板したのは2年目の戸根千明のみ。
こちらもFAで森福允彦(ソフトバンク)の獲得調査が噂されているものの争奪戦必至。
つまり、先発に加え、さらに場合によっては左の中継ぎ要員としても起用できる吉川光夫は、今の巨人が喉から手が出るほど欲しい人材だったのである。
確かにピーク時と比較すると球威は落ち奪三振率も低下しているが、まだ28歳と若く復活に期待が懸かる。