FAによる人材流出が最も多かったチーム、獲得が最も多かったチーム【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回はFA選手の移籍と獲得についてだ。
2016/11/06
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移籍先のNo.1は巨人。一貫してFA選手を獲得しない広島
日本シリーズが終わり、今年もFA市場が解禁になった。大物選手の移籍も取りざたされている。
日本のFAは1993年から始まった。過去に76例があるが、FA選手の移籍は球団によって大きく違っている。
各球団の移籍選手数、獲得選手数をまとめると以下の通りだ。「出」は移籍、「入」は獲得だ。差は「入」から「出」を差し引いたものだ。
「出」は、埼玉西武ライオンズの11人が最も多い。主力選手が多く流出した。そしてオリックス・バファローズ、中日ドラゴンズと続く。
「入」は、読売ジャイアンツが圧倒的に多く20人、続いて福岡ソフトバンクホークス(ダイエー時代含む)が13人、阪神タイガースが10人。資金力があるとされ人気もある3球団で、全体の56.5%を占める。
対照的に広島東洋カープはFAで6人流出した一方、FA選手を獲得したことはない。北海道日本ハムファイターズも2005年の稲葉篤紀だけだ。チームの一貫した戦略がうかがえる。
NPBにおけるFAは、一定の年数、出場登録され1軍でプレーした選手が、自由に球団と交渉する権利を得ることだが、行使した選手の移籍先を見ると、実質的に人気球団に人材が流出することになっていたといえる。