大谷という切り札を巧みに使った日本ハム。予想していた想定を超え、チグハグさが露見した広島【小宮山悟の眼】
10年ぶりに日本一に輝いた日本ハム。両チームの勝敗の差はどこにあったのだろうか。
2016/11/07
黒田に有終の美を飾ってほしかった
今年の日本シリーズは、周知のとおり北海道日本ハムファイターズが4勝2敗で広島東洋カープを下し、10年ぶりの日本一に輝いた。
戦前は、選手個々の能力比較で日本ハムが、やや有利だと分析していたが、個人的には広島に勝ってほしいと願っていた。
「今季は、黒田博樹の1年にしてあげたい」という思いが強かったからだ。
黒田は、日本シリーズの開幕直前のタイミングで、今季限りでの引退を表明。「ファンの方に失礼になってはいけないよう、最後にユニフォーム姿を見せる」という配慮からだったが、この引退表明で、完全に広島へ風が吹いた。
広島が第1、2戦を連勝したときに、私の頭の中には「3戦目に黒田が登板して王手をかける」という筋書きが浮かび、「なんだ、マツダスタジアムに戻らないまま勝負が決まるのか……」と心配したりもしたのだが、まさかそこから日本ハムが4連勝で一気に押し切るとは……。予想を超えた決着の仕方だった。
4戦先勝の勝負論から言えば、広島の2勝1敗で迎えた第4戦目がポイントになった。広島が王手をかけるのか、日本ハムが2勝2敗のタイに持ち込むのか。先に4勝を上げるうえで、非常に重要な一戦になった。
ただ、シリーズの流れという点では、日本ハムが大谷翔平のサヨナラ打で勝利した第3戦に大きな意味があったと思う。